掲載日 : [2010-08-25] 照会数 : 9050
<民論団論>朝鮮高校無償化問題
「偽装韓国籍」奇異な存在浮上
李敬成(59) 東京都・団体役員
朝鮮高校にも授業料無償化を適用するのか、あるいは除外するのか、をめぐる問題が大詰めを迎えている。
高校授業料の無償化は、この4月の新学期から適用された。だが、北韓の金父子偶像化や主体思想を教育する朝鮮高校については、当然ながら反対論が根強い。文部科学省はいったん見送った上で、5月に設置した専門家会議で是非を検討してきた。だが結論は、朝鮮高校の詳しい教育内容や運営体制を判断基準にしない方向になるとも言われ、懸念を広げている。
「民族教育」の側面を重視して我が子を朝鮮学校に通わせている父母や、深刻な財政難に陥っている学校の真面目な責任幹部たちは、精神的、経済的損害を被っているとの意識が強く、朝総連指導部に対して内心では強く反発してきた。
しかし、学校を支配する朝総連は、教育内容の改善や金父子肖像画の撤去など、日本当局がつけた条件を巧みにかわしながら、むしろ、在学生徒のうち韓国籍が60%を超えることなどを挙げ、適用が除外されれば韓国籍生徒も被害を受けるなどと強弁し、自己に有利な環境をつくることに汲々としている。
韓国籍の生徒が多いのは事実であろう。だが、その実態はどうなのか。父母たちが何らかの理由で韓国籍を取得した後も、子どもたちを朝鮮学校に通わせているのであって、韓国籍生徒といっても民団系や新規定住者、駐在員の子弟が含まれているわけではない。
韓国の法に違反
朝鮮高校に対する無償化適用問題は、自国民の命を犠牲にして核を含む大量殺戮兵器を開発し、豪勢な生活をほしいままにしてきた世襲独裁政権に盲従を強いる同校の教育内容に、改めてメスを入れた。同時に、韓国籍を取得した後も朝総連組織に属して何らかの活動をする、いわゆる《偽装韓国籍者》が多数存在する事実をあぶり出した。
韓国籍を取得した後にも反国家団体である朝総連と連携する者や、韓国籍でありながら北韓及び朝総連の指示を受けて運営される学校に子どもを通わせる父母たちは、韓国の実定法に違反していることになる。これに応分の対処をすべきであったにもかかわらず、韓国政府はこの間、何らの法的処置をとることもなかった。
これを放置していいわけがない。関係当局は最近になってようやく、この《偽装韓国籍》問題の深刻性を認識し、朝総連に従属する韓国籍者に対する調査及び対処方案を模索しているという。これが具体化すれば、子弟を朝鮮学校に通わせる韓国籍の父母たちなどは、例えば、韓国入国や外国旅行の際に不便をかこつことになると観測されている。私はこれに、二つの効果を期待している。
総連との別離を
「韓国籍」であることをいいことに一部の朝総連系活動家は、韓国を往来しながら国内の従北・親北勢力と連携して、北韓主導による世論の撹乱や統一戦線拡充など、かつての工作員のような活動を公然と行ってきた。これを封じ込めることができるばかりか、朝総連の伝統的な民団浸透工作にも打撃となるだろう。民団は06年に、イニシアチブを朝総連に奪われかねない5・17事態という、苦い経験を味わった。
もう一つは、朝総連傘下同胞が朝鮮学校そのものを改革するか、あるいは離れるか、を選択させる契機になるのではないか、という点だ。朝鮮学校で金父子独裁体制と主体思想に染まらざるを得ない子どもたちが、一日も早く朝鮮学校を離れ、正常な教育を受けられるようにすべきであり、長期的には朝鮮学校が朝総連から独立し、まともな教育機関になるよう圧迫を加える必要がある。
朝鮮学校に通う生徒・児童に罪はない。子どもたちはむしろ、朝総連の北韓従属路線を守るための「人権の盾」として利用されてきた。北韓独裁の指示・承認なしには何もできない学校の仕組みに罪があるのだ。
日本政府に対しては、現状での朝鮮高校への授業料無償化は、その罪深い仕組みを支える、許されざる財政支援になることを厳重に警告する。韓国政府に対しては、何よりも徹底した調査を通じて、《偽装韓国籍者》への応分な対応を急ぐべきだと要求したい。
最後に、民団団員として、朝総連に従う《偽装韓国籍者》たちに対し、一日も早く朝総連との関係を清算するよう心底から訴える。
(2010.8.25 民団新聞)