掲載日 : [2003-05-21] 照会数 : 3227
自治体積極サポート 外国籍住民の部屋探し(03.5.21)
神奈川、兵庫に続き埼玉県でも
入居差別是正へ望まれる広がり
国籍の違いなどによって外国籍住民が民間賃貸住宅への入居を事実上狭められている事態に対して、これまで「民事不介入」の立場をとってきた自治体でも、民団や外国人会議からの提言を受けて、手探りで独自の行政システムを確立しつつある。先駆けとなったのは住宅基本条例を制定した川崎市だが、県レベルでも神奈川、兵庫、埼玉などに広がりつつある。
民団・外国人会議の働きかけで
民団兵庫県本部権益擁護委員会が在日韓国人家庭5500世帯を対象に実施した98年のアンケートによれば、対象者の4割が入居差別を受けていた。その理由は「外国人だったため」が8割。なかには「提出書類の国籍を見たとたん不動産業者の態度が一変し、断られた」という例もあった。 川崎市は家主が外国人を敬遠する理由の一つに保証人の不在があることに注目、独自の支援制度を盛り込んだ「住宅基本条例」を2000年4月からスタートさせた。きっかけとなったのは外国人市民代表者会議からの提言だった。条例には悪質なケースでは家主側に是正を促すことができると規定した。
神奈川県でもNPOが2001年、県の後押しを受けて「かながわ外国人すまいサポートセンター」をスタートさせた。特色は不動産業界の協力を得て外国人にも積極的に賃貸住宅の仲介を行う不動産店の登録制度を設けたこと。
兵庫県は民団側の働きかけを受けてリーフレットやポスターで啓発に努める一方、入居申し込みカードから本籍、国籍欄を削除するよう不動産業者に指導してきた。県によれば「ここ4,5年で定着してきた」という。 昨年度からは外国人や障害者に積極的に物件の情報を提供する「協力店制度」を設けた。現在の登録は68店。外国籍住民からは「相談窓口がありありがたい」との声が届いているとのこと。
同じく埼玉県でも1月から「彩の国外国人住居アドバイザー制度」をスタートとさせたばかり。これは兵庫県と同様、不動産業界が外国人の部屋探しをサポートするもので、現在40店が登録している。
埼玉県は1月25日付で委嘱状を交付した。県では「協力体制ができてきた。外国人県民が相談に行けばスムースに住居を探せる環境が整いつつある」と話している。
入居差別を許さない行政システムの確立に向けた取り組みの、一層の広がりが望まれている。
(2003.5.21 民団新聞)