掲載日 : [2010-08-25] 照会数 : 10000
フラッシュ同胞企業人<52>ホテル並みの治療空間
[ 1951年横浜生まれ。78年東北大学歯学部卒業。79年川崎市で開業。医療法人青松会設立。神奈川韓商副会長。2女。 ]
ステーションビル歯科 医療法人青松会の趙成允院長
川崎市に歯科医院を開業してから、今年で30年を迎えた。顧客への感謝として、矯正やインプラント(人口歯根)などの治療を受けた患者には、海・山・地の幸から1品をプレゼントした。「患者に対する感謝の気持ちと、食べる喜びを改めて知ってもらうため、おいしいものを選んだ」
「駅から徒歩0分」をキャッチフレーズにしたステーションビル歯科は、川崎の溝口、横浜の日吉、そして6月にオープンしたばかりの東京・二子玉川の3カ所。スタッフは合わせて約30人(歯科医8人)。
「歯科医院の数はコンビニ店より多いと言われ、収入の少ない歯科医師も少なくない。従来のやり方では運営は難しくなった」
患者数4万人に
これまでに4万人の治療を行ってきた経験をもとに、他の歯科医院と差別化するため、治療室をゆったりした空間にしたほか、眠っている間に治療を行うリラックス外来、インプラントなどの最先端医療を導入している。「信頼できる歯医者さん2000人」(主婦の友社刊)でも紹介され、認知度は高い。
歯医者を目指したのは、「小さい時に見てもらった先生がとてもいい人だったから」。ところが、色弱のため、受験当時はどこも門前払い。唯一、東北大学だけ門戸を開いていた。「受験可能な歯学部はここしかないので、必死になって勉強した」
30歳前に開業しようとの目標を立てて、29歳のときに溝口にオープンすることができた。順調な滑り出しで、すぐに2番目を出したが、ここでつまづいた。
「10年ほど頑張ったが、かけもちでは患者への対応が不十分になった。自分が情熱をもって運営すべきであることを知った。そこを閉めて日吉に移った。この失敗が、逆に患者に教えられ、その後の運営に良き教訓となった」
毎年、米国へ視察に行く。患者の要望が年々高まっているからだ。「日本の歯科医は技術的に高いが、患者に対する医療サービス面で弱い。患者に対するプライバシーの配慮に欠けている」と強調する。
落ち着いた雰囲気の待合室、個室の治療室、女性用の化粧室、そして廊下は広く、「ホテルにいるような感じ」だ。
多言語にも対応
また、厚生労働省の「歯科医師臨床研修施設」に指定されており、セミナー室を研修医たちに開放して、勉強できる場を提供している。「歯科医療は日進月歩の世界だ。常に学ぶ姿勢が必要」
地域にも出ていく。川崎市立小学校の歯科医として、03年から毎年検診を行っている。川崎外国人代表者会議の議長を体験したのを契機に、外国人患者が来院したときに対応できるよう、17言語の歯科医療マニュアルも用意した。言葉が通じなくても、治療に必要な最小限の単語だけで対応できる。
南武支部の韓商会長、神奈川韓商の副会長も務める。川崎市と富川市が姉妹関係にあることから、訪韓する機会が増えている。
「個人の力には限界がある。組織の役員を引き受けると忙しいけれど、多くの人と交流しながら、組織でしかやれないことを楽しんでいる」
◆ステーションビル歯科川崎=川崎市高津区溝口2‐1‐1(℡044・850・2388)
(2010.8.25 民団新聞)