掲載日 : [2010-09-08] 照会数 : 9744
フラッシュ同胞企業人<53>社長の右腕 2千人登録
[ 1954年大阪生まれ。76年関西学院大学商学部卒業。関西興銀入組。2002年ビジネスインテリジェンス設立。1男2女。 ]
中小企業に「番頭さん」を派遣
ビジネスインテリジェンス 崔博文社長
「社長の右腕」が不在の中小企業に中高年の番頭さんを派遣、責任者として経営者を補佐し、売上増加や成長を図るサービスを提供する。
「登録者は約2000人。口コミで来訪するのは、大手企業出身の45〜65歳の人がほとんど。財務や総務、営業など専門的知識を有するベテランばかりで、職種も幅広い。人手不足の中小企業にとっては貴重な人材」
大手出身の退職団塊世代は200万人が余っているといわれ、その人材をマッチングさせる「番頭さん派遣サービス」が主な事業で、「成功率は9割ほど。事業承継をどうすべきか悩む経営者からの相談も多い」。
ほかに一般人材派遣サービス、企業再生支援、アウトソーシング、中国ビジネスサポートなども行う。社員は18人、09年度売上額は約3億8000万円。
2つの人生起点
大阪に生まれ、1976年に関西学院大学を卒業すると同時に信用組合大阪興銀に入組。82年、在日同胞が出資した韓国初の民間銀行「新韓銀行」の設立準備委員としてソウルに出向した。
「初めて日本の外に出たことが、貴重な体験になった。仕事の進め方など、韓国と日本とでは価値観がまったく異なる」。88年には、アジア太平洋トレードセンター(ATC)設立の研究チームに加わり、アジア各国を視察する機会を得た。「ほかのアジア各国が普通で、日本の常識が異質・特殊であることを理解した」
90年に「四天王寺ワッソ」の事務局長として祭りの立ち上げに奔走し、翌年の第1回開催にこぎつけた。新韓銀行とワッソが、「自分の人生の起点になった」と振り返る。
2002年、関西興銀が経営破綻で事業譲渡されたために退職。同年、4人でものづくりの中小企業を対象に、「ビジネスインテリジェンス」を設立した。しかし、コンサルティングを続けたものの、収益や経費は改善されなかった。
「中小企業の場合、社員はギリギリの人数なので、いくらアドバイスしても、変革する人材がいなければ、無駄だと思い知った」
そこで04年から始めたのが人材派遣事業。直接、現場に入ってみると、「3カ月で会社が変わった。責任者1人が加わるだけで変わるということがわかった」。
しかし、大企業出身者は優秀な人が多く、面接ではすぐにOKをもらえるが、現場に入ると、「明日から来なくていい」と拒否されるケースが相次いだ。理由を聞くと、「前の会社の話ばかり」「プライドが高い」などの苦情が多いことが分かった。失敗を繰り返さないため、派遣する前に「経営参謀養成講座」を受講させ、話し方や考え方を改めさせた。
アジアに紹介も
また、弁護士や会計士など専門家で構成された「サポートチーム」を編成し、協同で問題を処理することにした。「中小企業では人事や総務など1人数役で動かなければ、勤まらない」
試行錯誤しながら体制を整えてきた。「ニーズはある。目標は、番頭さんをアジアの1万社に紹介すること。近い将来、韓国でも広めたい」。大阪商工会議所からビジネスモデルで表彰された。
◆(株)ビジネスインテリジェンス=大阪市中央区常盤町2‐2‐5大阪HUビル8F(℡06・6945・5851)
(2010.9.8 民団新聞)