李瑛子さんに教わる 22日に韓国の秋夕(旧盆)を迎える。韓国ではこの日、先祖を偲ぶために墓を訪ねて、拝礼(チョル)を行う。最も丁寧なお辞儀が大拝礼(クンジョル)。男性が行うクンジョルは、ゆっくり大きな動作で行うのが特徴だ。韓国茶道・伝統礼節協会日本支部支部長、東京茶礼房の李瑛子さんに教わった。
最敬意表す年長者に 大拝礼(クンジョル)は、男性の場合は稽首拝(ケスべ)、女性の場合は肅拝(スックペ)という名称で呼ばれている。
クンジョルは、自分は拝礼をしても相手が答拝(タッペ)しなくてもよい、最も敬意を表す年長者に対し、儀式行事の時に行う。
また、平常時のお辞儀である平拝礼(ピョンジョル)についての名称は、男性は頓首拝(トンスベ)、女性は平拝礼(ピョンジョル)と呼ばれている。
男性の平拝礼のトンスベは、クンジョルと同じ動作を行う。ただし、額は拱手した手の上につけたらすぐに持ち上げて、すぐに立ち上がること。
伝統儀式は2回拝礼 昔は拝礼を沢山すればするほど、恭敬することだと考えられていたが、現在ではその考え方も変わってきている。
平常時の拝礼は男性1回、女性2回。ソルラル(旧正月)や秋夕、特別な記念日などの伝統儀式では男性は2回、女性は4回拝礼する。これを袷拝(キョッチョル)という。家族の誕生祝いの時には、男性は2回、女性は4回。ただし、拝礼を受ける年長者が回数を減らすように命じれば、それに従う。
また、伝統婚姻式での拝礼は新婦は2回ずつ2拝礼し、新郎は1回ずつ2拝礼する。
拱手は男左女右で 拱手する際の男女の違いは、陰陽の位置をその姿でも表現している。男性の場合は左手を上に、女性の場合は右手を上にすることを韓国では、「男左女右」という。
南側に向かっては左側が東になる。東側は太陽が昇る陽(+)で、西側は太陽が沈む陰(‐)とされる。
このとき、陽を示す男性の東側は左に位置するので、男性は左(男左)となり、陰を表す女性の西側は右に位置するので、女性は右(女右)となるので、「男左女右」となる。男左女右とは、男性は東側、女性は西側になるので、「男東女西」ともいわれる。
凶事の時の拱手法 凶事の時の拱手は、平常時とは反対に男性が右手を上に、女性は左手を上にする。
凶事とは、人が亡くなってから約100日間をいう。喪家の家族や参列者、永訣式場、喪に服す人へあいさつをする際に凶事の時の拱手をする。 ただし現在は、100日目の卒哭忌が終われば凶事ではなく、卒哭忌以降の祭礼は吉事であることから、平常時の拱手である男性は左手を上にし、女性は右手を上にして行う。
クンジョル(大拝礼) | |
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①両手の指をきちんと揃え、左手を上にして軽く合わせ(拱手)、相手に向かってまっすぐ立つ。 | ②腰を折り左膝を最初に曲げる。 ③拱手した手を床につけたあと、右膝と左膝をきちんと曲げる。 |
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④左足を下にして、右足の甲を重ね、かかとを外側に向けて広げ、尻を下げて深く座る。 | ⑤肘を床につけながら額を拱手した手の甲に軽くのせる。 |
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⑥この時、尻は浮かせず、かかとの上にのせるようにする。 | ⑦ ⑥の状態で3秒位の間を置いてから頭を上げつつ、拱手した手は床につけたまま、肘だけを床から離す。 |
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⑧右膝を先に立て、拱手した手を床から離し、立てた右膝の上にのせる(立ち上がる時、ぐらつくのを防ぐ)。 | ⑨右膝に力を入れながら立ち上がり、両足を揃える。 |
モデル=徐重教さん
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韓国茶道・伝統礼節協会日本支部 東京都港区南麻布3‐3‐10 (℡03・5442・3260)
(2010.9.8 民団新聞)