掲載日 : [2003-05-21] 照会数 : 4745
歴史の共通認識づくり拠点 NGO団体「あじあはうす」(03.5.21)
[ 連日活発な議論を交わした韓日青少年たち ]
韓中日3カ国青少年交流の場
学習通じ対立克服へ…在日同胞問題でも議論
日本の歴史教科書の内容が問題となるなど日本とアジアの歴史認識にズレが生じる中、また一つ韓中日の正しい歴史を考えようとするNGO団体が生まれた。3カ国の青少年たちが交流を通じて、歴史認識や外国人に対する人権問題などを学ぶ場を作ろうとする「あじあはうす」(共同代表:高橋伸子、申尊一)=東京・豊島区=だ。10日の設立に先行して、昨年末にはソウルで初の韓日青少年交流事業も行われた。
「あじあはうす」はアジア地域の青少年が寝食を共にしながら、1つのテーマにそって調査や学習、議論を通して共通の認識や、互いの国の違いを知る機会を得る学びの場だ。
設立のきっかけは高橋さんがドイツにある「ヨーロッパハウス」を視察したことから。第2次世界大戦後の市民運動によってドイツ、オランダ間で始まった「ヨーロッパハウス」は、対立した国の青少年が交流する拠点。両国青年の交流場面を目にし、日本でもアジア地域の青少年の拠点が必要だと感じた。
昨年末の韓日青少年交流では、韓国の普成高校在校生と日本の大学生、一般人が参加。交流会では「歴史」をテーマに安重根記念館や西大門刑務所などを訪ねるフィールドワークを通して調査や学習会を行った。韓国の小学校で日本語講師をしている在日同胞の金竜太郎さんらが自分の体験を通して在日同胞について語り、議論のテーマになったという。
日本側参加者の中には、初めて知る歴史的事実にショックを受けた人もいた。また、韓国側も初めて在日同胞について考えた生徒がほとんどだったという。
高橋さんは「歴史」をテーマに選んだ理由について、「君が代・日の丸」問題や、民族差別問題、また歴史教科書問題は日本人が歴史を総括していないという思いを以前から持っていたと話す。
さらに在日同胞の存在について運営委員の森良さんは、「韓日の歴史は在日韓国人を通してみると良く見える」という意見が交流会で出たという。高橋さんも「在日韓国人の問題は子どもたちに気づいてほしい点だった。在日韓国人が存在する歴史的背景を知らなければいけない」という。
今年8月には韓国から青少年たちが来日して2回目の交流会が開かれる。
今後学習の成果を積み上げ、誤った歴史認識を正すという作業を自分たちの手で行い、日本でアジアの共通認識に踏み込みたいというのが高橋さんの目標だ。
「この作業をやらなければ日本の未来はない。在日、韓国、中国の人の手を借りながらやっていきたい」
(2003.5.21 民団新聞)