最近、日本デビューした韓国のガールズグループ(女性アイドルグループ)が大人気だ。予想に反して同性ファンからも熱く支持されている。日本では、彼女らを「新韓流」と呼んでいるが、その中でも、「少女時代」が大旋風を起こしている。
パワフルで刺激的…
日本のアイドルでは物足りない!? |
フォーミニッツ |
9月8日発売の「少女時代」の『GENIE』(願いを言って)は4万5000枚を突破。日本オリコン週間シングルチャート4位にランクされて、女性海外アーティストのデビューシングル記録を塗り替えた。
CDデビューに先駆けて、8月にDVD「少女時代到来〜来日記念盤〜」購入者を対象に東京の有明コロシアムで行われたショーケース・ライブでは2万2000人を動員。ステージに彼女らが登場したとたん、女の子たちの大歓声が沸き起こった。観客の8割以上が10〜30代の女性で、「少女時代」のコスプレをしたファンも多く見られた。
先に日本デビューした「フォーミニッツ」、「KARA」、「ブラウン・アイド・ガールズ」も同様に同性ファンが圧倒した。
韓国とは違うファンの好み |
KARA |
ガールズグループは、韓国では「おじさんファン」という新語を生んだほど、10代はもちろん、30〜50代の中年男性ファンを多数抱え、人気を集めてきた。
韓国と日本で違う傾向を呼んでいるガールズグループ、その理由はこうだ。
①パワフルでかっこいい②ダンスがシャープ③美脚にあこがれる。
現在、日本を代表する女性アイドルグループといえば、「AKB48」と「モーニング娘。」。共通するのは、キュートさ。お姫様風のドレスを着て、「パラパラ」のように手や足の細かな動きを全員がそろえ、ダンスをしながら歌う。
ところが、韓国のガールズグループは、刺激的で躍動感を前面に押し出している。ミリタリーやスキニーパンツのような細身の衣装で大胆に美脚を見せ、全身をフルに使うシャープな振り付けと、調和が取れたダンスフォーメーションを見せる。そして、ステージでは自信とオーラにあふれている。
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ブラウン・アイド・ガールズ |
韓国のガールズグループは、基本的なダンスや歌の実力でも、日本のアイドルグループを上回っている。韓国ではレッスン期間が3年から6年にも達するが、日本では6カ月から1年程度。
アイドル量産のプロダクション、SMエンターテインメントの金英敏社長は「日本の女性アイドルグループは、男性が『守ってあげたい』と感じる本能を刺激するよう企画されたもの。しかし、これに嫌気が差した日本の若い女性たちは、韓国のガールズグループにたくましさやパワーを感じ、あこがれの存在と考えているようだ」と話す。
韓国のガールズグループの歴史は、98年にさかのぼる。当時韓国では、「S・E・S」、「ピンクル」、「BABY VOX」の3ガールズグループが大人気を誇った。そのうち、在日同胞のシューを含むR&Bユニット「S・E・S」が日本での活動を展開し、韓国を代表する歌姫イ・ヒョリをリーダーとする「ピンクル」は、正統派アイドルとして韓国にとどまった。そして、現在女優として活躍するユン・ウネが所属した「BABY VOX」は、中国へ進出した。
日本には、それ以前にも、ガールズグループが進出していたが、本格的に日本で成功を収めたのは「S・E・S」が最初。
その後も、「シュガー」、「ジュエリー」、「トゥーヤ」といったグループが続々と日本に進出したが、ブレイクにまでは至らなかった。韓国のガールズグループ全体の勢いが、02W杯韓日共催の一時的な盛り上がり後、急速に萎んだからだ。
流れを一変させたのが、07年にデビューした「ワンダーガールズ」だ。70〜80年代のディスコを彷彿させる『Tell me』が大ブレイク。若者だけでなく、おばさんたちまで振り付けをマスターしたほどだ。
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2NE1 |
この後、「S・E・S」が在籍したSMエンターテインメントからは9人組の「少女時代」が誕生。「ピンクル」を生み出したDSPメディアからは5人組の「KARA」がデビューし、再びガールズグループの黄金時代へと突入、今も続々と新しいグループが誕生している。
「T‐ara」、「2NE1」、「アフタースクール」、「ミスA」、「H・A・M」、「シスター」、「チョコレート」、「レインボー」、「シークレット」、「ナインミュージス」等々、数え切れない。
大衆音楽評論家のキム・ジャッカ氏は「ワンダーガールズや少女時代がブレイクして以来、雨の後の竹の子のように次々とデビューしたため起きた現象」と分析。
90年代に大ヒットを飛ばした宇多田ヒカルや安室奈美恵は女性の支持を得て、トップシンガーになった。「グループ」でパワーをアピールする韓国のガールズグループは、こうした女性シンガーたちよりもさらに強く日本市場を揺るがす可能性が高い。
男性ファンの心どうつかむ |
アフタースクール |
しかし、道のりはまだ遠い。一番熱心であるはずの男性ファンの反応が目立たないためだ。
日本のアイドルグループのファンは、全年齢層の男性(オタク)が占めている。
キム・ジャッカ氏は「韓国人男性よりも消極的な日本人男性たちは、パワフルなイメージの韓国ガールズグループに多少拒否感を抱えているようだ。ロングヒットを出すには、親しみやすさを感じさせる戦略が必要だ」と話している。
台風のように旋風を起こした韓国ガールズグループだが、「新韓流」を発展させることができるのか、注目したい。
(2010.9.29 民団新聞)