掲載日 : [2003-05-29] 照会数 : 4723
<社説>今こそ団員が求める民団に
民団の地方委員会と支部総会・大会を経て、全国民団の2003年度が本格スタートしました。活動方針の柱に「ウリ支部ウリチャラン(私たちの支部の自慢)運動」が盛り込まれました。
結成当時をふりかえろう
日本全国320にのぼる支部は、同胞数をはじめ、その地域の地場産業、生活習慣など取り巻く状況は様々です。この運動は、いわゆる「日本全国お国柄」の特性を生かしながら、団員のニーズにこたえるボランティア活動を展開し、団員が親しみやすく、期待と信頼にあふれた自慢の支部にしていこうというのが大きな目的です。
民団結成当時の趣旨をふり返ってみましょう。
「全国を通じて、在留同胞の総意と要求を最も正確かつ迅速に集中把握し、それに基づいた企画、施策を賢明で効果的に執行する組織体と規約をそろえていく」(1946年10月3日、第1次宣言文の基本要領より)。当時も全同胞が団結し団員のニーズにこたえられる同胞組織づくりをめざしていたことがわかります。それから過半世紀、民族的プライドを抱き、祖国の発展に寄与しつつ、様々な民族差別を克服し、地域住民として生活基盤を築いてきたのです。
しかし、在日同胞の構成は9割以上が日本生まれの世代となりました。言い換えれば「生まれも育ちも日本」であり、ここ数年来、同胞の民団に対する関心の低下を憂う声が高まっていました。とくに3世以降世代の祖国と民族に対する親近感、いわば民族意識の稀薄化や国籍の多様化によって民団の求心力が問われ、次世代の育成が大きな悩みとなっています。
次世代が親しむ「集いの場」に
韓日共催2002FIFAワールドカップから1年。韓国の大躍進は私たち在日同胞に大きな感動と勇気を与えてくれました。1、2世だけなく、若い世代もそう感じたはずです。そればかりでなく、韓日両国の若者たちが双方に親しみを感じるようになりました。
まだまだ韓国と在日同胞に対する理解が薄いとはいえ、ここ数年、日本の若者にとって韓国は人気のターゲットなのです。「ウリ支部ウリチャラン運動」では、この世代に向けた取り組みも大切なのです。すでに、各地域民団で開催されている韓国語講座や韓国料理教室は、若い世代の日本市民にも高い人気を呼んでいます。
民団の第1次宣言ではこうも記されています。「過去を過去に葬り、相互理解と親善を保全し同民族のように共存・共栄しアジアの平和をめざそう…」。これは永遠のテーマなのでしょう。
地域住民であり、韓日両国の民族文化を持つ私たち在日同胞が架け橋となり、私たちの支部を団員と日本市民、とくに若い世代が自然な形でふれあえる場にしていきましょう。
(2003.5.28 民団新聞)