掲載日 : [2003-05-29] 照会数 : 3177
民団同胞「資料館」開設へ 05年に東京に(03.5.28)
[ 在日同胞歴史資料館開設の説明を受ける全国の地方団長(26日、全国団長・傘下団体長会議) ]
在日の歴史体系化
専門家らで調査委構成へ
民団中央本部は、解放後60年を迎える2005年をめどに「在日同胞歴史資料館」を開設する青写真を発表した。在日同胞の歴史を体系的に整理して展示する施設はなかった。民団では歴史資料館を開設することによって、在日同胞の足跡を刻んだ「後世への遺産」としたい考えだ。
在日同胞の足跡を残そうとする歴史資料館の構想は、これまで在日同胞社会の各種団体などで叫ばれてきた。この間、個人や団体などが資料収集など貴重な努力を積み重ねてきたが、費用面や資料収集の力量不足からも個別の枠を超えることは難しいのが現状だった。
しかし、2005年には1905年の乙未保護条約から100年、1945年の解放から60年を迎えようとしていることから、在日同胞の歴史を振り返り、正しい在日同胞の歴史認識を伝えていくためにも最良の契機ととらえ、民団が取り組んでいくことにした。
歴史資料館は、日本への渡航事情から始まり、年代や地域ごとの在日同胞の生活状況、民族運動、労働運動、文化芸術運動など、在日同胞の足跡すべてを網羅する形で実現したいという。これらに関わる文献、映像、衣食住にかかわる生活用品などを収集し、展示する計画だ。
「建設推進委員会」を構成して推進母体とする。一方、収集・展示史料に関しては、滋賀県立大の姜徳相教授をはじめ在日同胞の史料に関わる分野で活動する同胞らで「在日同胞歴史史料調査委員会」を構成する。第一歩として、6月1日に初会合を開き。史料の収集方法や内容について方向性を決定する。
資料館は、現在韓国文化院が東京・四谷に新築が決まり、準備が進んでいることから、本国政府などとも協議し、活用できるかを模索する。また、東京・南麻布の韓国中央会館内に設置する可能性も視野に、資料館が広く利用される方法を取る計画だという。
一方、民団の傘下団体である在日韓国青年会は、一昨年から「われわれの歴史を伝える運動」を展開、全国の1世世代の聞き取り調査を終え、今年は映像をはじめとする史料の収集活動に着手している。民団では青年会と協力態勢を取り、全国の同胞などを対象に、家庭の中にうもれている資料を発掘していく。
また、大阪にある国立民族学博物館が来春、「多民族化する日本―在日外国人展」(仮称)の企画展のために全国的な資料収集に乗り出していることから、連携をとる構想もある。
(2003.5.28 民団新聞)