掲載日 : [2003-06-04] 照会数 : 3724
修学旅行生ら1200人案内 「民権協」昨年度計(03.6.4)
[ 生野区の「コリアタウン」(御幸森通商店街)で体験学習する修学旅行生 ]
生野「コリアタウン」で〞生きた歴史教育〟
在日同胞の現状も解説
【大阪】修学旅行で大阪を訪れる中学・高校を中心に異文化理解を取り入れる学校が増えている。こうしたニーズにこたえて大阪市内の同胞市民団体では昨年4月から生野区の通称「コリアタウン」を歩く体験学習を提唱、3月までに40件1200人を案内してきた。今年度もすでに800人の受け入れが決まっているという。
基本コースは鶴橋駅を出発、解放直後の「闇市」から発達した「国際市場」を通り抜け、御幸森天神宮から通称「コリアタウン」(御幸森通商店街)まで約1時間30分の行程。在日同胞が多数在籍する大阪市立御幸森小学校の民族学級や民族学校も回る。
このほか希望に応じて「ハングル講座」「民族楽器の演奏」「キムチづくり」の体験コースも取り入れている。
正式名称は「生野コリアタウン体験学習―歴史と共生、異文化プログラム」。NGO(非政府組織)在日韓国民主人権協議会(大阪市生野区鶴橋)が「外国籍住民と日本人がともに尊重して生きている現場」を紹介したいと昨年4月から始めた。
案内は協議会職員で在日3世の郭辰雄事務局長と宋悟さんが担当。2人は生野区と「コリアタウン」の成り立ち、在日同胞の現状、韓国と日本との歴史的な関わりなどについて解説する。外国人登録証を常に持ち歩かねばならない現状など自身の体験に根ざしており、「生きた歴史教育」となっている。
体験学習に参加した生徒たちからの感想文を見ると、異文化理解を考えるきっかけとなっているようだ。「民族衣装を着ることを否定されたことを聞き、いろいろ考えさせられた」、「お母さんに話すと、お母さんは『すばらしい話を聞いたから今度は一緒に行こうね』と言ってくれました」。
5月は富山、愛知、高知、滋賀、岐阜県から依頼があった。修学旅行生ばかりか各地の国際交流団体、地域人権推進協議会などからの要望も受け入れている。
同事務局では「マイノリティーとの直接の出会いは、特に中・高校生にとっては異質の他者との共存・共生の重要性を認識するきっかけとなっている。こうした試みが全国に波及していくことを期待している」と話している。
問い合わせは同協議会まで。電話06(6715)2651。
(2003.6.4 民団新聞)