掲載日 : [2003-06-11] 照会数 : 2796
韓日首脳共同声明 全文(03.6.11)
FTA交渉、早期に開始へ
羽田・金浦間シャトル便も
盧武鉉大韓民国大統領夫妻は、日本国国賓として、2003年6月6日から9日まで日本を公式訪問した。盧武鉉大統領は、滞在中、小泉純一郎日本国内閣総理大臣との間で首脳会談を行った。 両首脳は、1998年10月に発表された「韓日共同宣言―21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ」の精神に従い、韓日両国が、過去の歴史を見据え、これを踏まえつつ、21世紀における未来志向の両国関係発展のため共に前進していかなければならないとの認識を共にした。
両首脳は、韓日両国が2002年サッカー・ワールドカップ共同開催の成功と「韓日国民交流年」を通じて醸成された韓日友好親善の機運を維持しながら、信頼と友情を絶え間なく深化させ、両国関係を一層高いレベルへと発展させていくとの決意を共にした。
1 小泉総理は、韓半島の恒久的な平和定着及び北東アジア地域の共同繁栄を成し遂げるための韓国政府の「平和繁栄政策」に対する支持を表明し、盧武鉉大統領は、日朝平壌宣言に基づき核、ミサイル問題及び拉致問題等の日本側の関心事項を解決し北東アジア地域の平和と安全に資する形で日朝国交正常化を実現するという日本政府の基本方針を支持した。
2 両首脳は、北韓の核問題は、韓半島のみならず、北東アジア地域の平和と安定及び国際的な核不拡散体制にとって深刻な脅威であるという点で認識を共有した。
(1)これと関連し、両首脳は北韓の核兵器の保有はもちろん、いかなる核開発プログラムも容認しないということと、この問題を平和的、外交的に解決しなければならないということに合意した。
(2)両首脳は、北韓の核問題の平和的解決のため、北韓がこれ以上事態を悪化させる行動をとらないよう強く求めた。これに関連し、両首脳は、5月14日及び5月23日にそれぞれ行われた韓米首脳会談及び日米首脳会談で合意した原則を再確認し、今後、韓日間で連携を強化していくことにした。
(3)また、両首脳は、北韓の核兵器プログラムが検証可能かつ不可逆的な方法で廃棄されなければならないという点を強調した。
(4)両首脳は、北韓の核問題を平和的に解決できるという確信を表明し、そのために今後とも韓日米3カ国が緊密に連携し、中国、ロシア等関係国を含む国際社会と引き続き協力していくことを確認した。さらに、両首脳は北韓の核問題等懸案問題が平和的、包括的に解決され、北韓が責任ある国際社会の一員となれば、北韓に対し国際社会の広範な支援が可能となるであろうことを強調した。
(5)また、両首脳は、4月23日〜25日の間北京で開催された米中朝協議が北韓の核問題の解決に向けた対話の第一歩として有用であったということにつき認識を共にし、同対話のための中国の役割を歓迎した。
(6)両首脳は、北韓の核問題の解決に向けて早期に後続の会談が再開され、対話のモメンタムが維持される必要があるということに意見を共にし、北韓に関連する諸問題を包括的に解決するため、韓日両国が参加する形の多国間対話のプロセスに対する強い期待を表明した。
3 両首脳は、韓日両国が共有する自由・民主主義と市場経済の理念に基づき、平和と繁栄の北東アジア時代を切り開き、明るく豊かな未来を共に築いていくため、諸分野にわたり緊密に協力していくこととした。
(1)韓日自由貿易協定(FTA)の締結は、両国間の貿易と投資を増進させ、双方の競争力を強化し、東アジアひいては世界経済の成長に貢献し、地域の経済連携を促進する上でも大きな意義がある。このため、両首脳は、韓日FTA共同研究会において、包括的なFTAを締結する必要性について共通認識が形成されていることに注目し、同共同研究会が有意義な成果を上げるよう期待する。韓日両国は、これを踏まえ、早期にFTA締結交渉を開始するよう努力する。また、韓日FTAの推進に友好的な環境を作っていくため一層努力する。
(2)韓日両国のパートナーとしての経済協力関係発展のためには、両国間の貿易が拡大の方向に進むことが望ましいことであり、このため産業協力が重要であることを認識する。また、韓日投資協定締結を機に投資が双方向で一層拡大することを期待し、これを加速するため互いに努力する。
(3)両首脳は、世界自由貿易体制の維持・強化が地域及び世界の繁栄にも資するとの共通認識の下で、WTOドーハ開発アジェンダ交渉等において協力していく。
(4)韓日両国は、グローバルな問題を取り扱う国際的な枠組み、あるいは多様な地域協力の枠組み、更には国家レベルにおいて、環境問題や、国際テロ、海賊、麻薬・覚せい剤の不法取引等国家が介入した違法行為及び国際組織犯罪等、地球規模の多様な問題等への対策につき引き続き積極的に協力していく。
4 両首脳は、未来に向けた韓日両国間の協力を強化していくための基盤は、次世代を担う若者を中心とした各界各層間の深い相互理解と温かい友情、そして活発な人および文化の交流であることを確認し、それらを拡大・深化させていくために、これまでの協力関係を維持・発展させていくこととし、特に以下の点につき、共に努力していくこととした。
(1)両国民の各界各層間の相互理解と友情の増進
(イ)韓日国交正常化40周年を記念して、2005年を「コリア・ジャパン・フェスタ2005」とし、両国間の文化、学術等諸分野における各種の事業を共同で開催し、韓日関係の次世代を担う若者を始めとした国民各界各層間の相互理解と友情を増進する機会とする。
(ロ)「韓日共同未来プロジェクト」をより活発に推進し、現在年間1万人規模を目標としている青少年・スポーツ交流を更に拡大していく。そのような観点から、2005年から韓日高校生交流プログラムを拡大する。
(ハ)韓日フォーラムを始めとした韓日間の知的交流の一層の発展を図っていく。
(ニ)政治、経済、学術、文化等あらゆる分野における次世代指導者間の相互交流を促進する。 (2)韓日間の一日生活圏形成に向けた努力
(イ)韓日双方は、早期に韓国国民に対する査証免除を実現すべく更に努力する。また、日本側は、そのための新たな一歩として、韓国国民のうち修学旅行生等に対する査証免除を実現し、また再度期間限定査免を行うことを検討する。
(ロ)羽田―金浦間航空便の早期運航を推進する。
(3)韓日交流の拡大 (イ)文化交流を活性化させるため、韓国は日本大衆文化開放を拡大する。
(ロ)双方向の観光交流等の更なる拡大に向け、双方の外国人旅行者拡大のためのキャンペーンに関し、より緊密な協力関係を構築する。
(ハ)現在交渉が進められている社会保障協定及び税関相互支援協定をできるだけ早期に締結するよう双方が努力していく。相互承認については、これまでの専門家の作業状況を踏まえ、韓日FTA共同研究会の帰趨も見極めつつ、交渉開始に必要な作業を一層加速化する。
(ニ)韓日両国は、それぞれ相手国で「Japan Week」と「Korea Week」の開催を通じて、地方間交流を増進していく。
(ホ)「韓日新世紀交流プロジェクト」による教員招へい事業、スポーツ交流事業、韓国語・日本語の相互学習支援のための事業等を引き続き推進していく。
(ヘ)文化財分野における「人」の交流、有・無形文化財交流等を活性化する等の交流・協力を強化していく。
5 両首脳は、今後、外相会談等を通じて定期的に本共同声明の推進状況を点検していくこととした。
(2003.6.11 民団新聞)