掲載日 : [2003-06-11] 照会数 : 3289
盧大統領宮中晩さん会答辞 全文(03.6.11)
盧武鉉大統領は国賓として「訪日」した6日、皇居で日本天皇、皇后と会見し、韓国訪問を正式に招請した。同日の天皇、皇后主宰国賓晩餐会での盧大統領の答辞(全文)は次の通り。
天皇、皇后両陛下と天皇家の皆様、総理大臣閣下、並びにご来賓の皆様。
この度は盛大な晩餐会と、歓迎のお言葉をいただき、心から御礼申し上げます。こうした皆様方の歓迎を受け、まるで近所の方々の温かい人情に触れたようで、嬉しく存じます。
昔から韓国と日本は近い隣国でした。地理の面だけでなく、文化的にも、情緒的にも関係の深い隣国でありました。およそ1500年にわたる、われわれの祖先の交流と親善の歴史が、その関係の深さを如実に物語っています。
私は大韓民国初の「戦後世代」の大統領として、このように長い歴史を持つ両国の友好親善関係が今後も持続されるべきだと信じております。
韓国では6月6日が独立運動の有功者と殉国先烈の献身と犠牲を称える顕忠日、戦没者慰霊の日であります。そのような日に私はこうして日本を訪れています。それは過去の歴史を忘れたからではありません。過去をありのままに直視し、これを乗り越えて韓日関係の新たな未來を切り拓いて行くのがさらに重要だと考えたからであります。
両国はもはや過去の影から自由になって、真の和解と協力の新時代を開いていかなければなりません。
その可能性が十分にあることは、すでに昨年、確認されました。2002年は韓日関係史において記憶に残る、意義深い年でした。
ワールドカップ・サッカー大会の共同開催は史上初の試みでした。様々な憂慮の声がございました。しかし、私たちは力と知恵を集めて、アジア初のワールドカップ大会を立派に成し遂げました。全世界が惜しみない賛辞を送ってくれました。
大会期間中には、ソウルと東京の街中で、両国の若者たち、「レッド・デビル」と「ウルトラス・ニッポン」が一緒に肩を並べて、互いを応援するという、かつてない光景が見られました。誰かが命令してそうなったわけではありません。心と心が一つに結ばれた、非常に美しい光景でした。
また、両国の各地方では、「韓日国民交流の年」を記念する大小約100のイベントが行なわれました。ここでも若い世代が先頭に立っていました。互いに心を開いて対話を交し、理解と友情を培っていました。
私はこうした光景を目にしながら、韓日両国の未来について大きな希望を感じました。特に、若者たちの交流と共感は、われわれ両国が築いていく明日のために、何よりも貴重な資産になったと思っています。
今も両国国民の胸の中には、昨年の熱く沸き上がった情熱が生き生きと燃えています。その情熱、その感動を、韓日共同の未来を切り拓くためのエネルギーに昇華させねばなりません。そうすることで、名実ともに世界の模範となる「韓日パートナーシップ時代」を開いていくことができます。
私はこれこそ、この時代を生きる両国の指導者が当然担っていかなければならない、歴史的使命だと確信しております。
私たちは今や、われわれの子孫が築いて行く未来について、さらに深く考えていかなければなりません。ひいては、北東アジア全体の平和と繁栄に向けて、心を開いて協力していくべきだと考えております。
韓国と日本は、アジアでもっとも進んだ民主主義の伝統と市場経済の経験を共有しています。未来は韓日両国に、先導的で積極的な役割を期待しています。
韓国と日本は、21世紀の平和と繁栄の北東アジア時代が花開くよう、力と意志を合わせていかなければなりません。
私は、われわれ両国がそれこそ「近くて近い国」、お互いに尊重し合う隣国となるよう、最善を尽くしていく考えであります。両国の指導者皆様の積極的なご協力をお願い申し上げます。
ご臨席の貴賓の皆様。 天皇、皇后両陛下のご健康と、韓日両国の友好協力関係の永遠なる発展、そしてわれわれ両国が共に築いて行く「北東アジアの明るい未来」のために、ご一緒に祝杯を上げてくださいますようお願い致します。
乾杯!
有難うございました。
(2003.6.11 民団新聞)