レゲエバカ。レゲエをこよなく愛する人のことをこう呼ぶ。バカだからこそ、言いたいコトをまっすぐに伝えることができるのかもしれない。
好きなリズムにのせていっときの感情から世界平和まで、政治・宗教・人種などを歌う。聞けば体は踊りだし、心は平和になる。レゲエはそんな音楽なのだ。
レゲエはジャマイカで生まれた。だからジャマイカ人は、ほぼ百パーセント、レゲエバカだ。あの人も例外ではない。そう。世界最速の男。ウサイン・ボルトである。レース前後にレゲエダンスを踊るのがジャマイカ人の証。世界を10秒間も止めることが出来る。
30年前、レゲエの神様ボブ・マーリーは世界の平和を歌い、眠った。その歌声を聴いて育ったボルトが、今度は政治・宗教・人種を越えた世界陸上という舞台で、世界に夢と希望を与えた。カリブ海に浮かぶ島、楽園ジャマイカ。一生に一度は訪れてみたい国のひとつだ。
韓国はというと、そのボルト率いるジャマイカが400㍍リレーで世界新記録を出したおかげで、世界陸上2011大邱大会を最高のフィナーレで閉じることができた。
熾烈なメダル争いが多かった今大会は、競争の激しさを増す今の韓国社会を、別な意味でより一層感化させたことだろう。常にベストを尽くし理想を追い求めることが、明日に向かってともに走ることに繋がれば幸いである。
韓国がともに走らなければならない相手は政治・宗教・人種を超えて、ひしめきあっている。太極旗に身を包む金メダリストが、陸上界に登場する日を心待ちにしている。(K)
(2011.9.7 民団新聞)