パッチワークが趣味で、細かい針仕事の好きな久保田逸子さん(53、京都府相楽郡)はもう一つ、趣味の韓国人形作りにも励んでいる。この3年間で女性の人形を中心に約20体を制作してきた。これからも、たくさんの人たちに見てもらいたいと制作意欲は旺盛だ。
奥深い韓服の世界
「婚礼衣装も着せたい」
韓国ドラマに魅せられてハングルの勉強を始めたという。韓流ファンなら誰もが思いあたるはずだ。
人形の服作りには子どものころから夢中になってきた。当時は「リカちゃん人形」に代表される洋物だった。ところが、韓国ドラマの世界にはまってからは「人形に色彩豊かな韓服を着せればどうなるかな」と考えるようになった。
韓国人形の魅力は「その衣装の持つ優雅な雰囲気」だという。
資料集めには韓国語駆使し
「考えているとどうしても作りたくなる」。本や資料の知識をもとに苦労して1体を試作した。満足して棚に飾っておいたところ、家族から「1着ではかわいそうだから着せ替えてあげて」の要望があり、久保田さんの人形作りに拍車がかかった。
着せ替え可能な韓国人形づくりは難題だった。特に下着やポソン(靴下)は、韓国ドラマの知識からだけではうかがい知れない。ソウルの大型書店を訪れ、関連資料を購入した。書物を探すのに韓国語を習っていたことが、少しは役だったという。
材料は基本的に近くの手芸店や雑貨店で手に入れてくる。韓国屏風の材料も、100円ショップで仕入れた園芸材料から自作した。今年からは人形の本体に針金を入れ、カヤグムを弾く女性といった優美な動きのある作品にも挑戦している。
人形の髪型や表情は、人形に韓服を着せてから、衣装の雰囲気に合わせる。コムシン(靴)やノリゲなどの小物も同様だ。
人形の背丈は、昨年までのものは約40〜50㌢とやや大きかったが、今年新しく作ったものは、女性30〜35㌢、子ども25㌢前後ほどになる。
久保田さんは「韓国人形を作っていくうちに、これまで知ることのできなかった文化の奥深さをたくさん発見しました」と喜んでいる。
着付けや歴史さらに学んで
「韓国に対してもそうですが、韓服に対しても、ここまで興味がわいてくるとは思わなかった。今後は着付けや歴史など、そういったことも勉強して行きたいと思います」
これからは男性の人形にも取り組むという。「いずれは男女の婚礼衣装を着せてみたい。まずは男の子、帽子や衣装など作っていくとまた何かが発見できそう」と目を輝かせていた。
07年の「韓国語弁論大会」(大阪KJC共催)で大阪韓国商工会議所賞を受賞している。
(2011.9.14 民団新聞)