総連中央本部前で金正日圧政に抗議
「北韓での『人道に対する罪』を止める国際NGO連合」(略称ICNK)は8日、東京・千代田区富士見町の総連中央本部会館前で抗議デモを行った。北韓強制収容所でいまも呻吟する民衆への祈りを捧げるとともに、総連を通じて金正日政権への怒りを伝えるのが目的だ。この日の示威行動には世界各国の人権リーダーや脱北者ら約60人が参加した。
参加者は韓国や日本、米国、英国、インドネシア、フィリピン、メキシコなどから集まった。「北朝鮮‥人道に対する罪 停止を」と書いた横断幕を掲げ、「強制収容所の閉鎖を」「拉致した人をすぐ返せ」など、それぞれの思いのたけを英語と韓国語、日本語でしたためた手作りのアピール文もかざしながら強く抗議の意を表した。
マイクを手にフィル・ロバートソンさん(ヒューマン・ライツ・ウォッチアジア局長代理)が、「総連よ目覚めよ」「人権のために一緒に闘え」などと、繰り返し英語で叫んだ。しかし、9日の「国慶節」を前にして祝賀ムードに浸る会館内からはなんの反応もなく、無視を決め込んでいることがうかがえた。
途中、ロバートソンさんをはじめとする数人の代表団が金正日国防委員長に伝える手紙を手に玄関先に向かったところ、応対に出た総連側は「私たちは受け取る立場にない」と拒絶、一時もみ合いになる場面も見られた。
最後に、強制収容所に囚われて奴隷状態におかれている人々の一刻も早い自由の回復を祈りながら、平和の鳩に見立てた約40個の風船を段ボールのおりの中から解き放ち、空高く飛ばした。それぞれの風船には、現在判明している強制収容所内の人々の名前が書き込まれている。
子ども・女性も獣扱い…脱出者証言
強制収容所、公開処刑、拷問など、北韓内で日常的に繰り返される深刻な人権侵害を告発するための国際会議が7日、東京の明治大学で開かれた。アムネスティ・インターナショナルや米国に本拠を置くヒューマン・ライツ・ウォッチ、FIDHという3つの国際的な人権団体の呼びかけに応え、中国を含む15カ国から40人以上の北韓問題専門家・国際NGOメンバーらが集結した。
被害者側を代表して金恵淑さんが、北倉強制収容所(平安南道)での「あらゆる蔑視を受け、生きてきた28年」を証言した。
金さんは韓国戦争当時、祖父が韓国に逃れたのが理由で家族全員、強制収容所に送られた。当時13歳。生きるため、収容所内に自生する草を食みながら生をつないできた。09年に脱北したが、弟と妹2人はいまも収容所で暮らす。金さんは「強制収容所を1日も早く解体させて」と述べた。
鄭光日さんは耀徳強制収容所(咸鏡南道)からの脱北者の1人。中国で貿易業に携わっているとき、韓国人と接触したことをとがめられ、拷問の末にやってもいない「スパイ行為」を無理やり認めさせられた。強制収容所内では獣扱い。病気でも獣医の診断だけ。奴隷労働の末に空腹に耐えかね、人糞にまみれたトウモロコシの種を水洗いして食べたために血を吐きながら死んでいく被収容者の姿を見てきたという。
鄭さんは「核よりも北韓収容所の査察を優先してほしい」と訴えた。
国際NGOや法律家らは、被害者の証言を検証し、女性や子どもを含む20万人以上に拷問を繰り返している強制収容所を「人道に対する罪に違反」と断定し、国際社会がいまこそ行動を起こすときだと提起した。
(2011.9.14 民団新聞)