東京で15カ国40余団体
国連に人権調査委設置求め
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ、アムネスティ・インターナショナルをはじめ韓日米欧など15か国、40以上の人権団体が8日、東京都内で「北韓での『人道に対する罪』を止める国際NGO連合」(ICNK)を結成した。同連合は、金正日政権に対し、深刻な人権侵害、公開処刑や拷問などの「人道に対する罪」を直ちに止め、強制収容所を解体するよう強く求めるとともに、国連に対し、国際人権法・人道法違反行為の調査・究明、違反行為責任者などの特定とその責任追及を目的とする調査委員会の設置を求めていく。
ヒューマン・ライツ・ウォッチのフィル・ロバートソンアジア局長代理、クリスチャン・ソリダリティ・ワールドワイドのベネディクト・ロジャース東アジア局代表、「開かれた北韓放送」の河泰慶代表、「北韓民主化推進本部」の金泰振代表(元北韓耀徳強制収容所収容者)は8日、都内の日本外国特派員協会で記者会見し、ICNKの結成を発表した。
「開かれた北韓放送」の河代表は、「個別に活動していた世界の団体が一緒に動く意味は大きい。人権問題などないとしてきた金正日政権への圧力になる」と述べた。
北韓では、6か所の政治犯収容所に約20万〜30万人の政治犯とその家族が連座制により収監され、拷問や虐待などの人権侵害が日常化しているとされる。同連合は収容者の解放や、拉致などを含む人権侵害の即時停止を求め、国連に対し、強い権限を持つ調査委員会の設置を促し、各国政府にも後押しを要請するなど、国際社会への働きかけを強める。
国連が毎年採択している北韓の人権状況決議や国連特別報告者の報告、民間人権団体などがまとめた多くの報告書や脱北者の証言により、無数の人権侵害、反人道行為が行われているのは事実であり、また収容所の地理的位置を示す人工衛星写真、その位置を裏付ける多くの体験者の証言によってもその存在は明らかだ。
だが、金正日政権は、これら収容所の存在自体や人権侵害・人道犯罪を一切否認、「国内にいかなる人権問題もない」として人権改善措置を拒否している。
ICNKでは「国際社会は言葉だけでなく、北韓の非人道的犯罪に行動を起こさなければなない」とし、イスラエルのガザ地区やリビアと同様に、国連の調査委員会を設置することで、現場調査や国際機関への問題提起など多様な活動が可能になるとしている。
国連に設置を求めている調査委員会について、北韓での人権・人道違反行為の事実調査・究明、責任者の追及をめざすもので、あらゆる分野のすべての階層における調査を実施するものではないが、犯罪責任者を追及することで、広義においては北韓における悲劇的諸問題の解決に向けた確実なステップになるとみている。
このため、国際社会が協力して、調査委員会の設置を国連へ訴えると同時に、それぞれの自国の政府に対してもその設置を求め支持するよう強く働きかけてくれることを呼びかけている。
国連に調査委員会が設置され、調査・究明、責任の追及が行われても、事態の改善がみられない場合は、重大な国際犯罪を裁く国際刑事裁判所(IOC)に付託することをも考えているという。
ICNKのメンバーは9日午後、東京・千代田区富士見の朝鮮総連中央本部会館前で金正日政権に抗議してデモを行った。前日の7日には、明治大学で「北朝鮮国際人権会議」を開き、金正日政権による「人道に対する罪」を検証するとともに、それを止めるための行動について話し合った。
(2011.9.14 民団新聞)