掲載日 : [2003-06-25] 照会数 : 3317
多方面から大きな反響 脱北者支援民団センター(03.6.25)
就職斡旋など協力続々と…定着へ衣食住面で対策
北韓を脱出し、日本に戻ってきた元在日同胞とその日本人家族らが、日本で安定して生活できるようにと民団が設立した「脱北者支援民団センター」に多方面から支援や問い合せが相次いでいる。反響の大きさに、民団の担当部局では、同胞などに向けて、より多くの支援を呼びかけていく方針だ。
脱北者への支援センターを開設したのは今月3日。支援センター開設が報道されてすぐ、在日同胞らから「頑張ってほしい」という賛同と激励の声が相次いだ。その多くは、「地上の楽園」という全く嘘の宣伝にのせられて北韓に「帰国」、いわゆる北送同胞を親族に持つ同胞だった。
北送後はどうすることもできずに、ただ支援物資を送ることしかできず、中には生死の確認もできない同胞もいた。同じ境遇を持つ脱北者に身内の姿をダブらせる電話が多かったという。中には、身内がすでに中国に脱出しており、日本への渡航を支援してほしいと切実な要請もあった。
一方、首都圏で養鶏場を営む日本市民からは「住み込みでできる仕事がある。脱北者をぜひとも支援したい」という申し入れもあった。このほか募金支援やボランティア支援などの問い合せも続々と押し寄せている。
一方、脱北者からも民団が支援センターを設立したことに対する感謝や、脱北するまでの苦難の経緯をつづり、支援センターの活動に期待を寄せる手紙も多く寄せられている。
脱北して日本に戻った元在日同胞や日本人家族らは、着の身着のままで脱北して中国を経由して日本入りしたため、全くゼロからのスタートとなっている。また、脱北者の多くが家族単位で構成されているため、ある程度の住居や生活費は不可欠となっている。
しかしながら、多くが未だ北韓に家族を残して脱北した状況のため、身分を明らかにできないことから、就職もより厳しい状況に置かれている。また、北韓生まれの2世は日本語が話せないため、現状では就業は困難な状況にある。
就職できた中でも、劣悪な環境下で低賃金労働を余儀なくされているケースも少なくない。余裕が無い生活のため、将来へのメドが付かないという脱北者が多いという。
民団支援センターでは、数十年ぶりの日本語に慣れたり、北韓生まれの2世が日本語を学べるよう、日本語学校に呼びかけ、無料あるいは格安で学べる環境を模索している。また、同胞商工人にも就職の受け入れなどを呼びかけ、一人でも多くの脱北者が日本で暮らしていける環境づくりを目指している。
■□
募金など支援呼びかけ
センターでは、募金、就職受け入れ、住宅紹介、教育の支援など脱北者への支援を受け入れてくれる個人や団体などを募集している。連絡先は03・3454・5811。募金口座は郵便振替口座00150-5-546257支援センター。
(2003.6.25 民団新聞)