一方的に「臨時理事会」開き、韓国側代表解職警告も決議
慣行・原則に反する暴挙
財団法人朝鮮奨学会は「所属と思想、信条にかかわりなく役員に韓国籍、朝鮮籍の人が同数就任し、民族的に統一した同胞学生援護団体となり、さらに日本の学識経験者を加えて、常に一致協力して奨学事業を推進してきた」(同財団ホームページ)。しかし、朝鮮側代表理事・常務理事がそれまでの慣行・原則を破り、韓国側理事の同意を得ないままに、一方的に「臨時理事会」の9月30日開催を招集。李宇海監事(弁護士)から「適法でない。瑕疵なき手続きを執るよう」に促されたにもかかわらず、韓国側理事不参加のもとに強行「開催」した。のみならず同「理事会」名で、韓国側の代表理事に対して「理事会欠席」を理由に、「今後、代表理事職解職もありうることを警告する」との「決議」まで行った。
「不適法」との監事通知無視
朝鮮側理事(金鎭禹代表理事、李隆珩常務理事)による一方的な「理事会開催招集」について、李宇海監事は通知文(9月27日)で「当法人では、代表理事2名が共同の上、理事長(寄附行為第15条)として、「事務を総理し」「法人を代表」(同第16条)しております。従って(臨時理事会に関しては)代表理事2名が共同して招集すべきであり、かつ、代表理事2名が共同して招集権限を有するものであり、単独でこれを行使し得ません」と指摘。臨時理事会招集のために「適法な、瑕疵なき手続きを執るよう」に求めた。
李監事は再通知書(9月29日)で「当法人ではかねてより両代表理事が共同で『事務を総理し』『法人を代表』してきたのが実態であり、いずれか一方の代表理事単独で権限を行使してきたものではありません。かかる実態が、南北コリア側(韓国民団側と朝鮮総連側)双方の均衡と連携をはかるべきだという、当法人の特異な性格から導かれた結果であることも、また多言を要しない」と改めて言及。「瑕疵ある招集手続きに沿って、当日、開催場所に赴くこと自体が、瑕疵ある手続きを謂わば『追認』したとみられかねない」と強調、出席を拒否した。
韓国側理事(金隆阜代表理事、裴富吉常務理事)は9月30日、「本日に『理事会』の開催をあえて強行するとすれば、本会の組織特性を崩壊させるという許しがたき行為となりかねず、今後に生じるだろうその責は、ひとえに朝鮮側理事が負わねばならない」と文書で明らかにした。
金隆阜代表理事は同日、「金鎭禹代表理事、李隆珩常務理事が招集した『第221回臨時理事会』なる『会合』は正規なものと認められないので、その『会合』には出席しない」と表明。その後も「『第221回臨時理事会』なる『会合』は手続き上瑕疵があることと、今日までの財団運営の慣行・原則にもとるもので、正規の理事会とは認められない」と強調している。
日本側の理事(武者小路公秀・元国連大学副学長、宮崎繁樹・元明治大学総長)が、朝鮮奨学会の長年の慣行・原則を無視・破壊する朝鮮側理事の暴挙に同調したことについて、金隆阜代表理事は「今般の采配は残念にもこれまでとは全く違っているので、十二分に熟慮された上でのことなのかと疑問と驚きの気持でいる。今後、どのような判断と行動を取られるのか、厳しく見守らざるを得ない」と苦言を呈している。
(2011.10.19 民団新聞)