掲載日 : [2003-06-25] 照会数 : 4839
SARSと無縁の韓国 観光当局安全性アピール(03.6.25)
[ 安全性をアピールする韓国観光公社関係者 ]
風評被害…日本からの観光客半減
〞ホテルなど激安、行くなら今〟
新型肺炎(重傷急性呼吸器症候群=SARS)の大流行以降、日中間の往来客が激減したが、この動きは韓国にまで飛び火しているのだそうだ。SARS流行の後、日本から韓国への観光客は半減したという。
慌てた韓国の観光当局は、18日から20日までの2泊3日間、日本の関東地域の旅行業者およびマスコミ関係者約40人を招いて韓国の安全性を見てもらおうと韓国研修旅行が韓国観光公社主催、アシアナ航空協賛によって行われた。イラク戦争およびSARS発生により、日本人観光客が海外旅行を控えている中、東アジアの中でも、もっとも安全な国である韓国をアピールしてもらうためのものだ。
日本で流される中国や香港、台湾のニュース映像は、ほぼ全員がマスク姿の物々しいもの。半分気を引き締めて仁川空港に降り立ってみたもののマスク姿は一人もいない。ちょっと拍子抜けの到着だった。
初日の最初の訪問地は、南北の分断状況を間近に感じられる鰲頭山統一展望台。統一展望台は、漢江と臨津江が交わる西部戦線の最北端に位置しており、毎日多くの観光客が、川を挟んで約3キロ先の北韓の地を望遠鏡で眺めている。ここでもマスク姿はない。
観光公社主催の晩餐会では、韓国観光公社の崔在根海外マーケティング本部長が「昨年、両国は360万人が往来するなど、活発な交流が行われた』としながら『今年も活発な交流が行われることを期待していたが、SARSの影響で日本からの観光客が去年に比べ半減少した」と嘆いた。
しかし現実は、韓国は日本と同様に治安、そして衛生面において世界でもっとも安全な国と高く評価されており、SARSの感染者も一人も発生していない。2カ月前にソウルに赴任したという日本の観光関係者は「日本人は心配しすぎだ」という。
晩さん後、一同は『NANTA』の公演などを楽しみ、SARSとは無縁のソウルの夜を満喫していた。
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慶州・8月の世界文化エキスポ 準備急ピッチで
2日目、韓国の伝統家屋が立ち並ぶ南山韓屋村へと足を運んだ。ソウルに残っている伝統家屋を移転させた韓屋村と伝統庭園などがある。ソウルで昔の人々の生活を肌で感じる事ができる数少ない場所の一つだ。この後、高いビルが建ち並び、車と人々がせわしく動き回るソウル市内も回ったが、日本と同様にSARSはテレビニュースの中だけの大騒動のようで、気配すら感じることができなかった。
新羅の古都・慶州に向かった。慶州は千年間、新羅の古都として文化を花咲かせ、戦乱の多かった韓半島において、未だに古代の香りを漂わせる唯一の場所と言っても過言ではないだろう。その慶州で、4年前から2年ごとに、世界文化エキスポが開催され、今年も8月13日から10月23日まで、普門観光団地で開催される。急ピッチで建設が進んでいた。
結局、2泊3日の日程中、SARSのサの字も感じることが出来ず、訪韓客が半減したというのが信じられない思いだった。風評被害というのは恐ろしいとしか言いようがない。今、ソウルは観光客の復活に躍起で、ホテルも何も激安時代。行くなら今しかないと、声を大にして言いたいのだが。(SP)
(2003.6.25 民団新聞)