多様な同胞糾合する
全国の各級組織を代表して参集した幹部の皆さん。
そして、この式典をいっそう輝かせてくださる内外来賓の皆さん!
私は、在日本大韓民国民団を代表し、文字通り組織の屋台骨となってこられた先輩世代の遺志、そして、現在と未来に責任を負う現役世代の決意、この2つを真摯に受けとめながら、この日を迎えました。
在日同胞の大同団結の所産でありながら、共産主義者グループに奪われた在日朝鮮人連盟は、強大な組織力をもって本団の圧殺を試みました。しかし、本団は自らの非力を省みることなく、明日をも知れない極度の貧困と政治的な混乱から、同胞の生活と生命を守り、一丸となって新祖国建設に参与することを目的に、堂々と立ち上がったのです。
1946年10月のことです。その決意たるや、実に壮なるものがありました。
在日同胞は、日本の行政的・社会的差別に苦しむだけでなく、祖国分断にともなう民族内部の抗争に翻弄されてきました。本団はそうした逆境にあっても、組織拡大の努力を怠りませんでした。在外国民・同胞団体として、大韓民国の雄飛に貢献する一方、多文化共生を目指す地域住民団体として、各種差別を撤廃・解消しつつ、日本の発展にも寄与してきました。
その不屈の歴史は私たちの誇りです。
私はこの場で改めて、本団の創立・発展に心血を注いだ先輩世代に対し、衷心より敬意と感謝の念を捧げます。そして、先達の労苦に報いるべく、本団に与えられた使命の遂行に邁進する覚悟を新たにするものです。
会場の皆さん!
私たち団員の多くは来年、在外国民として韓国憲政史上で初めて、国会議員選挙と大統領選挙に投票権を行使します。韓半島の分断構造が地殻変動しつつある中での国政選挙は、大韓民国と、在日同胞を含む全民族の将来にとって、重大な意味をもつことになるでしょう。
私たちには、歴史が育てた祖国との強固な紐帯があり、日本に在るがゆえの思いと見地があります。
この選挙において私たちは、北韓独裁とその追従勢力の策動を許さず、大韓民国の憲法秩序の守り手であり、全民族の幸福を保障する先進統一祖国建設の担い手であることを、より鮮明にするでしょう。
私たちはまた、価値観の多くを共有する韓日両国の結束こそ、先行き不透明な東アジアの安定と繁栄に、不可欠な担保であることを知っています。両国が大同に立ってより健全な関係を築けるよう、これまで以上に後押しするつもりです。私たちが求める地方参政権の付与は、そのより力強い原動力となるでしょう。
本団には、名実ともに在日同胞の唯一の求心体となる使命があります。次世代を育成しつつ、日本国籍取得者、新規定住者、さらには朝鮮総連からの離脱者など多様な同胞を幅広く結集しましょう。
会場の皆さん!
いずれの課題も、組織強化なくしては困難です。激動と困難に揺るがない、次世代が希望を抱ける民団をつくるために、私たちは、非力ながらも同志的な結束を信じて船出した創団時の、壮たる決意を今一度想起すべきです。
そして、65年の歴史に負けない、新たな歴史を創り出すために、民団人の気骨を遺憾なく発揮しましょう。
(2011.11.23 民団新聞)