読者の皆様におかれましては、新年をどのようにお迎えでしょうか。
東日本大震災とそれに起因する原発事故によって、何らかのかたちで被災され、現在も不便をかこち、辛い思いを強いられている読者も少なくありません。1日も早い復旧・復興を願うとともに、被災者を含むすべての読者皆さんが希望を抱いて前進できる1年となることを祈念します。
昨年の世界は天変地異、EU発経済危機、「アラブの春」、そして金正日国防委員長の急死など、大事件が相次ぎました。そして今年に、たくさんの宿題を残しました。これらは本紙読者の日常生活に大きな影響をもたらすものばかりです。
本紙は今年、日本地域をはじめとする在外国民が国政選挙に参与することを念頭に、在日同胞と韓半島の今後はどうあるべきか、同胞社会のオピニオン紙として鋭意発言していくつもりです。
さて、今回も「私の念賀状」に多くの応募がありました。紙面の都合で掲載がかなわなかった方々にはご容赦のほどお願いします。
昨年も多くの読者から1口3000円の「郵送協力金」をいただいたことに御礼申し上げ、読者皆様にとって今年が平穏で充実した1年となることを祈念します。
民団新聞社 社員一同
韓国憲法裁判所貴中
国民としての義務などほとんどない在日韓国人にも、今年の国政選挙から投票権が与えられました。「国民主権の基本権」であり、これを与えないのは「平等権の侵害」だとする皆さんの判決に基づくものだそうですね。こそばゆくも少しは嬉しいのも事実です。
私には民族意識の強いれっきとした韓国人でありながら、旅券を持っていない友人がいます。日本人であれ在日同胞であれ、皆がみな旅券を持っているわけではありません。旅券がなければ投票どころか、選挙人登録もできないとなれば、旅券を持たない者は在外国民ではないということになります。もしかしたらこれ、憲法にひっかかりません?
選挙人登録済み者(34)東京都
アボジ、オモニへ
アボジ、オモニ。毎朝、空に向かって「おはよう」と呼びかけるのがいつしか日課になっています。
去年、アボジ、オモニが苦労して、がんばって建てた家に引っ越して、住むようになりました。二人のぬくもりが残っているのに、目の前にはいない寂しさ。でも、いつも一緒に心のなかにいます。
今年は、この実家の住所から大空に届くよう、アボジ、オモニに年賀状を送ります。
文金淑(61)大阪府
息子夫婦へ
16年前60歳で世を去った夫は息子の嫁に、「祭祀だけはきちんと守ってくれよ」と、さりげなく言いました。息子夫婦はこれをしっかり守り、自分の子供に幼いころから祭祀の意味を教え、儀式をともに行ってきました。
私は今、名古屋韓国学校で韓国語を習っていますが、文化祭に私たちのクラスは檀君神話の劇をしました。台本を繰り返し読んで感動しました。祭祀の重要さもいっそう深まりました。夫の信念を曲げずに、祭祀が息子夫婦、孫と続くことがなんと素晴らしいことか…。
孫宮子(61)愛知県
「フラッシュ同胞企業人」へ
私は在日2世の平凡なサラリーマンです。今は定年を過ぎ、20年以上小さな会社に勤めています。浄化槽の清掃をしているうえ、セントレア空港で週末にはガイドスタッフとして働いています。
貴紙の「フラッシュ同胞企業人」の備北清掃社の記事を読んで、同胞として、生きる希望と勇気づけられました。日本人の年配者から時々、鉄くずやトイレやゴミの仕事は朝鮮人の仕事だと聞かされて、差別意識が残っていると心が痛みました。
日本社会の圧迫の中で、力強く生きていく民団に私たちの希望を感じます。
李登龍(66)愛知県
太極戦士の次期監督さん
ぼくが初めて韓国代表のワールドカップを見たのは2002年。大邱で米国戦、仁川でポルトガル戦、そして大田でのイタリア戦を家族4人で観戦しました。5歳だったぼくは、ものすごい歓声におどろくだけでした。
それから、すっかり韓国とサッカーが好きになり、ドイツ、南アフリカ大会は深夜でも苦にしないでテレビ観戦しました。とくに朴智星選手からは勇気をもらいました。
アジア第3次予選でまさかの苦戦をしていますね。予選落ちなんて絶対やめてください。次期監督様! 2014年も絶対に、太極戦士の勇姿を見たいんです。
鄭昌晃(15)東京都
南大門よ! そして金剛松よ!
焼失した国宝第1号・南大門の復元工事は、年内に完了するはずだ。南大門の柱や大梁には、わが全州李氏一門にゆかりのある江原道三陟の濬慶墓周辺の金剛松が用いられる。だから、と言うわけではない。南大門復元に私は格別な期待を込めている。
南大門焼失も、その前の大邱地下鉄の大惨事も、韓国社会の抱えるフラストレーション、それによる個人の絶望、錯乱から起きた。復元が、国の人々の心を和ませ、同時に、韓国社会が苛立ちや葛藤を吸収する柔らかく強い構造に向かうことを、象徴するものになって欲しいのだ。そんな私の気持ちを、金剛松に託している。
李世勲(65)京都府
「奇跡の一本松」様
高田松原にあった7万本の松の中で、あなただけが残りました。仲間を失い、どれほど心細かったでしょう。でも、やがて朽ちていく運命のあなたの種子から、18本の苗木が育ったそうですね。
津波にも負けなかったあなたの姿に、16歳で渡日し、馬車馬のように働き、昨年亡くなった私のアボジの人生が重なります。異国での風雪に耐えながら、大地をしっかと踏みしめて、私たちの生きる土壌を耕してくれました。
18本の苗木は復興の象徴として立派に育つでしょう。私もアボジら1世の歴史を語り継ぎ、「奇跡の一本松」の苗木に負けないような子供を育てていきます。
崔華美(37)千葉県
次世代の君に
息子は覇気がなく、自分を低く見ている。何かあれば、国籍のせい、親のせいにする。私の眼には無気力に育ったように思えた。2世であり、親である私の背中が貧弱だったせいなのか、ずいぶん悩んだ。
だが、根は真面目なのだ。私は息子を信じてきた。信じてよかった。昨年の民団の母国研修に無理やり参加させたが、以来、韓国や在日について前向きになった。
「在日」はやはり、「在」りし「日」の存在になっちゃダメだよな、と照れながらも話してくれたときは、本当に嬉しかった。
背中の貧弱な父(51)兵庫県
韓国人に惚れちゃったA子さん
「あなたは在日だから、韓国人の気持ちを教えて」。趣味の教室で先生をしている韓国人男性にひと目惚れし、お付き合いしたいというA子さん。そういうメールをもらっても、簡単に返答できるわけないじゃない? 韓国人だってワンパターンじゃないのよ。
あなたは面倒みがよく、だれからも好かれるタイプ。ただ、お酒が好きで彼の前でも大はしゃぎ。彼ももてあまし気味みたい。何事も最初が肝心よ。韓国人男性の気質がどうのこうの以前に、韓国の礼儀作法を私なりに教えましょう。
宋玲紀(43)神奈川県
学びすぎる妻へ
なぜ、韓国語を懸命に学ばなかったのか、後悔したことが私にはありませんでした。なぜなら、「実生活にほとんど影響がないから」。
高齢にもなり、いまさら、とは思いながらも、毎日のように音読、韓国語での日記づけを秘かにしています。
きっかけは、日本人の妻が学ぶ喜びに目覚め、放送大学を卒業したことです。しかも、ハングルを学んで意気揚々と韓国に行き始めました。つまらぬ遠慮がない分(?)、私より会話がうまいのです。
妻は今、夫婦げんかも韓国語で仕掛けてきます。かなり悪い言葉も混ざります。これがけっこう悔しい。負けてはいられません。
巌鶴秀(64)大阪府
大中国の指導者先生
日本人の著名な学者が、最近の中国は太平洋戦争に突入した当時の日本に似ていると指摘した。
「三人行必有我師焉 択其善者而従之其不善者而改之」。
3人行けば必ず我が師あり。その善なる者を択び、之に従い、その不善なる者は之を改める―という意味の孔子の言葉だそうである。
韓・日・中が安定した東北アジア時代を開くには、中国がまず2500年前のその教えに学ぶべきだろう。
北韓問題などで北韓自体の悪質性には目こぼしし、韓国や米日の対応に目を吊り上げるようでは、間接の原因を直接の原因であるかのように言いくるめる「春秋の筆法」となってしまうが、いかに。
鄭昇一(72)京都府
DEAR水魚
どうか手をつないでください
つなぎたいと想う手がそこにあるなら今すぐに
つなげばもう離ればなれにならない 遠くにいても近くでも決してその手を離さない
置き去りになんかしないよ あなたは唯一 わたしの全て
つなぎはじめは落ち着かないこともある それでも気持は弾んだまま高まっていく
つながれば感覚が研ぎ澄まされ、やがてドキドキがワクワクに
そして世界が幸せに
どうか心をつないでください
つなぎたいと想う心がここにあるから今すぐに
漢江にて FROM 孔鏡弼(27)東京都