■□
同胞結集 底力発揮を…危機に強い特性生かして
駐日本国大韓民国特命全権大使 申珏秀
在日同胞の皆さん、2012年の新年が明けました。
昨年は東日本大震災によって、日本社会はもちろん在日同胞社会も多くの困難を経験した年でした。しかし、在日同胞社会は困難に陥った隣人を助けるために、積極的に救護、誠金募金、ボランティア活動を繰り広げながら、互いにとって温かい手を差し伸べ、強い支えになりました。在日同胞社会が見せた共生、協力精神は今後、より大きな和合と団結のステップになると信じます。
振り返ってみますと、私達は常に危機に強かったと思います。1997年の外貨危機と2008年の世界金融危機も、すべての国が力を合わせ賢明に克服し、世界秩序を論議するG20の一員になりました。
昨年には貿易額が1兆㌦を達成し、世界9位の貿易大国になりました。産業化と民主化をともに成し遂げた大韓民国は、今や先進一流国家というより大きな夢に向かっています。
植民支配と戦争、貧乏などの試練を経験した大韓民国が60余年かけてこのような快挙を成し遂げたのは、母国発展に寄与を惜しまなかった在日同胞の皆さんの功労が大きいのです。これからもわが政府と大使館は在日同胞社会が国家位相にふさわしいプライドを持つことができるよう、権益と地位向上のため継続努力していきます。
韓日関係は両国が発展的に過去の結末をつけ、未来志向的な同伴者関係を構築していく時です。そのためには、正しい歴史認識の土台の上で不幸な過去史による傷をいやしながら、和解と寛容の波が起きなければなりません。わが政府と大使館はこのために外交的な努力を惜しみません。
在日同胞社会は同胞社会内部はもちろん日本社会とも和合を達成し、民族主体性を維持しながら発展を持続していく課題を抱えています。
今日、在日同胞社会が多くの変化と挑戦に直面していますが、あらゆる逆境の中にあっても発展を重ね、日本社会で成功裏に地位を確保した在日同胞の皆さんの底力が再び発揮されることを信じます。
今年は壬辰の年、龍の年です。本国と在日同胞社会が力量を結集し、飛翔する1頭の龍のように力強く跳躍する1年になるよう願います。
あわせて、在日同胞の皆さんすべてに新年に多くの福がありますように、ご多幸とご健康に包まれた1年になるよう願います。
■□
内外で歴史的転換の年…民団の役割一層重要
民団中央本部 議長 黄迎満
壬辰の新年を迎え、在日同胞の皆さん一人ひとりのご健勝と各家庭にご多幸がありますようお祈りいたします。
昨年を振り返ってみますと、3月に起きた東日本大震災では、日本の復興なくして在日社会の繁栄もないとの共通認識のもと、民団・大使館・韓国企業連合会が三位一体となって、被災者支援活動に全力を尽くしました。
被災同胞から感謝の言葉が相次いで寄せられたことは、まさに同胞との絆をさらに深めたと言ってもいいでしょう。
2大運動の一つである次世代育成運動では、中・高・大学生から青年会、青年商工会にいたる若い世代を網羅した「次世代育成1000名プログラム」を成功裏に終え、円滑な世代交代を担保する大きな契機になりました。
また、三大事業の要だった創団65周年記念式典は、草創期から65年間の歴史を評価するとともに、同胞の和合と団結を軸に在日同胞の統合を打ち出すなど、新しい時代を切り開いていく決意を内外に鮮明にしました。多事多難な年を、一致団結した民団の底力で様々な活動を成し遂げたと評価するものです。
昨年12月17日の北韓国防委員長の突然の死によって、北韓社会の不安定化と南北関係の激変が予想されます。在日同胞として、北韓が冷静さをもって北韓社会の平和と安定さを取り戻すことを願いつつ、南北対話と交流を通じて南北関係の平和確保を期すべきだと切に願うものです。
ご承知の通り、今年は本国において流動的な案件が控えています。4月に実施される総選挙と12月の大統領選挙は、本国社会に大きな変化をもたらす可能性があるものです。
幸いに私たち在日韓国人も史上初めて、この在外国民選挙に私たちの意志を反映させることができるようになりました。在日の明るい未来の一端が今回の選挙にかかっていると信じ、必ず投票するようにしましょう。
在日同胞の皆さん。今年2月には民団中央大会が開かれ、新しい指導部が選出されます。次世代育成や同胞統合、財政自立など、在日同胞の指導母体である民団の役割は非常に重要です。
激動する内外情勢と時代に対応すべく民団は、今年を歴史的な転換期として、在日同胞のさらなるエネルギー結集にまい進しなくてはなりません。
新しい年の幕開けに際し、民団に課せられた課題遂行と同胞の皆さんの自己実現をお祈りしながら、新年のご挨拶といたします。
■□
被災地に見た民団力…多文化共生社会のモデルに
民団中央本部 監察委員長 金昌植
壬辰の新年を迎え、謹んで在日同胞の皆様に新春のご挨拶を申し上げます。
振り返ってみますと、昨年は未曽有の東日本大震災に見舞われながらも、一致団結した力で復興支援に全力を挙げ、次世代育成運動など様々な活動を展開してきました。
11月には創団65周年記念式典を開き、内外に民団の存在感を誇示し、新しい民団運動を展望した一年だと総括することができます。
私は東北の被災地に何度も足を運び、民団の炊き出しに共に汗を流しながら、廃墟と化した町並みの中でも整然と秩序を守り、強い絆で復興に力を尽くす人々の姿に胸を打たれました。
「困った時はお互いさま」と言われますが、民団という組織があってこそ、全国の在日同胞や本国からの募金などさまざまな支援を受け入れることができましたし、同胞や日本の被災者にも手を差し伸べることができました。
私たちが願う多文化共生社会が被災地で実現できたことは、何よりの収穫であり、今後の民団のあり方を示すものだとあらためて実感した次第です。
私たちの後継者となる次世代育成事業については、ソウルで開催された「1000名プログラム」が目標を上回り、今年夏に予定されているオリニジャンボリーにも期待をふくらませる成果をあげました。
一方、韓半島に緊張状態が続く中で、金正日国防委員長が昨年末に急死したことにより、北内部の不安材料が懸念されています。
私たちは北韓に追従する、いわゆる「従北勢力」と朝鮮総連および韓統連の動きを注視しながら、確固とした安保意識と韓国の自由民主主義を守ることこそが、自らに与えられた使命であることを今一度再確認しましょう。
在日同胞の皆さん。4月には本国の総選挙、12月には大統領選挙が控えています。これは、私たち在外国民にも初めて与えられた画期的な権利です。
皆さんはすでに選挙人登録を済ませていることとは思いますが、在日韓国人政策に多大な理解を示す政党を精査しながら、一人でも多くの同胞に投票を呼びかけるとともに、民団の威信をかけて私たちの一票を積極的に有効活用いたしましょう。
新しい年が同胞の皆さん一人ひとりにとって、龍のようにスケールの大きな年になりますようお祈りしながら、新年のご挨拶に代えさせていただきます。
■□
震災で学んだ「絆」の大切さ
在日大韓婦人会中央本部会長 余玉善
昨年3月11日の東日本大震災で多くの人々の尊い命が失われ、今なお行方不明の方々やさらには元の生活に戻れない方々が沢山います。厳しい寒さが続く中、より早い復旧復興を心から願ってやみません。
そして私たちは震災から多くのことを学びました。それは人々のつながりの大切さ、「絆」を取り戻すことができました。
婦人会中央本部は震災の前に「絆」と言う画報を発刊しています。
全国津々浦々まで婦人会活動の紹介と、互いの情報交換、会員同士からの声の反映を目的としています。
川の水が絶えず流れるように、婦人会もまた時代の流れとともに強い「絆」の輪で、前を向いて歩こうではありませんか。
今年は私達在日にうれしい歴史的な年であります。在外国民として大統領選挙と国会議員選挙に在日韓国人として初めて投票することが出来ます。韓国政府から韓国国民として初めて認められた気持ちになりました。
これからも祖国を愛し婦人会発展に邁進して行きます。
今年も在日同胞社会の安寧と皆様のご家庭の幸運をご祈願申し上げます。
■□
新たな「在日パワー」で結集
在日韓国商工会議所会長 朴忠弘
本会議所では、昨年末に、第49期定期総会で決議されました一般社団法人在日韓国商工会議所の名称使用を経済産業大臣から許可されました。本年度本会議所は「新たなる在日パワーの結集」を推進しながら、民団への協力体制を更に強化し、在日商工人の豊かな未来を創造する唯一の経済団体としての韓商ブランドを強化する所存です。
世界的に厳しい経済環境にある昨今、在日商工人は発展するアジアを中心に、グローバル・コリアン・ビジネスネットワークを幅広く構築しながら、ビジネスチャンスの獲得にチャレンジすべきです。
本会議所は、大きく変化する経済的な環境に適合できる柔軟な組織体制を保持しながら、在日経済の発展に向けて、在日商工人の求心体としての役割を果たして参る所存ですので、関係各位の力強いご支援・ご協力をお願い申し上げます。
尚、本会議所では本年4月24日に大阪で創立50周年記念シンポジウム、記念式典・祝賀会を開催し、50年史の発刊をはじめ記念懸賞論文「在日の未来のために〜これから50年のビジョン」をテーマに募集する等、有意義な記念事業を展開して参ります。
■□
支援金で会員組合の安定化
在日韓国人信用組合協会会長 権東鉉
本国では今年から在外同胞に国政選挙権が与えられ、4月の総選挙、12月の大統領選挙に投票できるようになりました。私達の意見と要望を国政に反映させることができるようになったことは大変喜ばしく、積極的に参加すべきです。
日本経済は昨年3月、東日本大震災の発生とその後の原発事故により大きな打撃を受けました。震災企業の復旧が進み、生産・輸出の持ち直しが始まったものの、欧州債務問題の影響とそれに伴う急激な円高進行及びデフレの定着化により景気は減速傾向にあります。
今年から被災地に対する本格的な復旧・復興予算の投入効果等により景気は緩やかな成長が続くものと思われます。
当協会会員組合は長い間、在日同胞や地域中小企業を支え続けてきましたが、日本経済の低迷が続くことにより会員組合の主な取引先である中小企業の経営状況も芳しくないため、厳しい経営を強いられております。
このような現状を踏まえ、昨年8月、本国支援資金約156億円の支援期間が5年間延長されたことを契機に、同支援資金の運用利益を効率的に活用し、会員組合の経営安定のために役立てたいと思っております。
■□
「温かい金融」で社会に貢献
新韓金融持株会社会長 韓東禹
去る1年は、先行き不透明なグローバル経済とヨーロッパに端を発する金融危機の可能性が取り沙汰される等、決して穏やかでない一年でした。しかし、このような厳しい状況においても、新韓金融グループは韓国国内金融グループの中で最も優れた実績を収め、設立以来最高の純利益を実現致しました。
在日同胞皆様のご関心とご愛情を賜り、新韓はこのように韓国の金融業界を代表する先導金融グループに成長することができました。新韓グループは、先導企業としての高い位相に合った社会的責務を果たすべく方向を模索した末、金融の本業を通じて社会とともに成長する「温かい金融」を新しい経営方針として宣布致しました。
今後「温かい金融」を通じて、社会構成員である皆様を繁栄の道へ導く、新しい金融のイメージを広めるため率先して参る所存でございます。
そして日本現地法人であるSBJ銀行も、このような意を現実化すべく努力し、実を結んだ結果であり、SBJ銀行を通して在日同胞社会に貢献し、皆様の経済活動を支援させていただくため最善を尽くします。屈指のグローバル金融グループを目指していきます。
■□
次世代育成へ奨学基金拡充
(社)本国投資協会会長 梁龍雄
韓国は昨年度貿易1兆㌦を達成しました。貿易1兆㌦を超えたのは米国、ドイツ、中国、日本を含めて全世界で9番目になります。また、米国とのFTA批准を承認しました。今年発効すれば、世界経済の61%の国との壁を無くして世界3位の経済領土を確保することになります。外国人投資及び交易の増加、生産性向上など経済的な効果はもちろん、政治同盟が強くなり、国家安保面での効果も得られます。
世界の経済状況は厳しくとも、私たちがより強い意志と覚悟で努力し続ければ、必ず乗り越えられると信じております。
昨年民団が創立65周年を迎えて「夢を次世代へ」というスローガンを表明したように、我々も次世代のために未来を準備すべき大事な時期に直面しております。
当協会でも急変する経済環境に合わせて同胞企業の成長と発展を図る一方、本国の経済発展にも寄与できるように備え、厳しい環境であっても母国での勉学を希望する在日同胞子女たちがグローバルリーダーに成長できるよう「奨学基金募金事業」も拡大推進します。
■□
創立60周年で新たな出発へ
在日大韓体育会中央本部会長 朴安淳
大韓体育会の日本支部として、また、民団の傘下団体として祖国のスポーツ界発展と在日同胞青少年の育成に寄与してきた本会は、諸先輩方のご尽力と関係各位の皆さまのご支援により、このたび創立60周年の佳節を迎え、2月10日に記念式典を開催することとなりました。
2002年W杯の韓日共同開催や近年の韓流ブームもあり、過去にないほど友好的な雰囲気に包まれている韓日両国であります。
しかし、その陰で戦後の混乱期より両国スポーツ界の発展と交流に貢献しつつも、外国籍であるがゆえに活動の場を奪われ、両国の狭間で悩み、苦しみ、葛藤しながらも闘い続けた在日スポーツ選手に活躍の場を与えるため、祖国の国体に53年から現在まで58年間にわたり、延べ9000人にもおよぶ選手を派遣し続けてきた体育会の歴史的事実は、残念ながらあまり知られていません。
本会は、こうした体育会の歴史を後世に残すための書籍の出版、また、先達の功績を称える褒章事業、そして、60年の節目を刻む記念式典を開催することで、スポーツを通じた在日同胞社会の発展という使命を果たすべくさらなる飛躍の機会とする所存でございます。
■□
喫緊の後継者育成へ全力で
在日韓国青年会中央本部会長 朴善貴
昨年は東日本大震災により、東北地方を中心に未曾有の被害と傷跡を残し、原発事故の影響は国内にとどまらず世界中に放射性物質への不安を生じさせました。
被災地の復旧復興に向けて、そして社会に明るさを取り戻すために、微力ではありますが本会も継続的な支援活動を今年も続けてまいります。また、昨年は本会の重点運動でもあった地方本部の再建に、全国からご支援をいただき、一定の成果を残すことができました。
在日同胞社会の中で、とりわけ次の世代を担う後継者となる人材をいかに育成するかは、今後の共同体の姿を占う、喫緊の課題であります。
その課題に全力で取り組むべく、組織の拡大を当面の目標として据えました。組織再建の成果を収めつつあることは、在日同胞社会の秘めたポテンシャルの一端を示し、前向きな組織改革により、新たなコミュニティの形を作りうるとの確信を得ました。
今年は、在外国民が韓国の国政選挙に初めて参与する記念すべき年であり、入管法の改定や地方参政権の動向など、日本に居住する私達に大きな影響を与える一年になります。
■□
北との緊張状態を鋭意注視
在日学徒義勇軍同志会会長 李奉男
1昨年3月の天安鑑撃沈と11月の延坪島無差別砲撃から1年が過ぎても、北韓は一言も謝罪しないどころか韓国に責任を転嫁し、世界の嘲笑の的になっている正恩への3代世襲にうつつを抜かしています。
金日成誕生100年の今年に「強盛大国」の大門を開くと豪語し、多くの人民を飢餓に追い込む一方で、ひたすら軍事大国化に躍起になっています。韓半島は今も一触即発の緊張状態にあることを、私たちは決して忘れてはなりません。強固な安保力を軸に、韓半島の安定と平和を死守することが私たちの使命です。
本国に目を向ければ、今年4月の総選挙と12月の大統領選挙に私たち在日韓国人も投票ができるようになりました。しかし、国内選挙を北に有利に悪用しようとする「従北勢力」と、それに日本で追従する朝鮮総連、韓統連らの動向を私たちは厳しく注視しなければなりません。
今年は在郷軍人会の創立50周年の節目の年です。相互扶助・共存共栄の心で、誰もが参加できる大きな「和」をつくる所存です。韓国の自由民主主義と正統性を継承していくことが、私たちに与えられた重要な役割であることを新年に今一度認識しましょう。
■□
母国研修機に新会員増やす
在日韓国学生会中央本部会長 高郁実
新春のお喜びを申し上げます。皆様おすこやかに新春をお迎えのことと存じます。
昨年は学生会の活動に多くの方々からご支援をたまわり大変ありがたく思っております。
また、昨年の夏に行われました母国研修をきっかけにし、学生会に入会する新規参加者が増えたことで、以前にも増して活気が出てきております。
現在は2月25〜28日に開催予定の冬季キャンプにむけて、着々と準備を進めているところでございます。
学生会は若い世代同士の繋がりを大切にしながら、活動を行ってきました。
ハラボジ、ハルモニから受け継いできた母国に対する思いを尊重するとともに、在日韓国人としてのアイデンティティを考える貴重な場を提供しています。
学生ならではの、拘束されない、さまざまな意見を述べあっています。将来の可能性を追求するためにも、同胞学生にとって学生会はなくてはならない場所だと、私自身も痛感しております。
経験がすくないため、皆様にはご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
■□
次世代の科学者育成に重点
在日韓国科学技術者協会会長 洪政國
科学技術に国境はなく常に世界的な評価と貢献につながるものですが、科学技術者には国境も民族もあります。世界的に評価される科学技術者は国の力であり、民族の誉れです。
科技協は、在日の科学技術者の求心体として、専門家同士の相互交流と親睦、自己研鑚などの促進と、豊かな在日社会創造への寄与、そして母国の科学技術発展への寄与を目指しています。
特に、民族学校生に対する科学技術講演、在日3・4世を対象としたプログラム、大学院で博士を目指す若手研究者のための合同分科会、世界的な評価を受けているシニア研究者を対象にした碩博セミナーなどを最重要事業としています。
これは中学・高校生に科学技術に夢を持たせることや、理系を専攻する学生の進路指導をしたり、若手研究者を育成して世界的な科学技術者を目指すための一連のプログラムです。科技協は、幅広い専門分野と、成熟度の異なる世代を対象に一貫性ある事業を通して、世代間の交流と、未来に大きく羽ばたく次世代の科学技術者の育成を強化します。
(2012.1.1 民団新聞)