【大阪】大阪では民団各支部が韓国語講座を開設している。生野南韓国学園には同胞の親子3世代、3姉弟の姿も。生野西支部「コリアンアカデミー」は今日の「土曜学校」の先駆け的存在といえる。民団布施支部「オリニバン」は日本の学校を退職した教師が協力している。子どもたちを対象とした個性豊かな3支部の次世代育成の現場を見た。
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「生野南韓国学園」
在日3世代つながり
民団大阪・生野南支部(金哲弘支団長)の「生野南韓国学園」では、2世から4世まで3世代がつながる。親子の呉和子さん(59、2世)と姜美典さん(33、3世)は「一般の部」、呉さんにとっては孫になる玄穂乃夏ちゃん(9、4世)と玄銀平君(7、4世)は「オリニの部」。
銀平君は昨年、穂乃夏ちゃんと一緒に初めて韓国を訪ねた。同世代の親戚とも親しくなれたのに言葉をしゃべれない。子どもたちのもどかしげな様子を察した姜さんは、2人を学園に送り込み、自らも一から学ぶことにした。
姜さんは、子どもたちが教室から帰宅すると習いたての言葉を口にし、韓国の歌やドラマにもこれまで以上に関心を向けるようになったと喜ぶ。学習意欲を刺激されたのか、呉さんも「もっと正確に学びたい」と通い出すようになった。
「東方神起」のファンという3人の宋姉弟。佳那さん(18)は韓国語も堪能な国際人をめざす。怜那さん(15)はK‐POPが大好き。竜平君(11)は韓国語教室が楽しいと話す。
学園長も務める金支団長は、「3世代、3姉弟がそろって学ぶ姿を見ていると私たちも励まされる」という。オリニの部は毎週月曜日午後4時30分から。誕生日会やクリスマス会も取り入れ、楽しく学ぶべるよう気を配っている。
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「生野コリアンアカデミー」
パズル、クイズ形式
「生野コリアンアカデミー」は民団大阪・生野西支部(梁評守支団長)が運営する。開講から36年の歴史を数える。今日の民団「土曜学校」の先駆け的存在だ。
毎週水曜日と土曜日の午後5時から。塗り絵やパズル、クイズ形式といった遊び感覚を取り入れた内容が好評で、近隣の御幸森小学校などから16人の子どもたちが通う。
きっかけを聞いてみると、「もっと話をしてみたい」と答える子どもが多かった。「地域に韓国語教室がないから」と、生野区以外の離れたところから通ってくる子どももいる。
講師で、パンソリ唱者としても著名な安聖民さん(45)は、「楽しそうに学んでいる子どもたちの姿を見ると、うれしさでいっぱいになる」という。同じく趙倫子さん(36)も、「子どもの時の民族教育はとても大事」と話す。アカデミーを巣立っていった中学生がふと立ち寄り、「まだアカデミーがあったんや」「もっと韓国語を話してみたいから1月から来るわ」と言いながら帰っていった。また、ある大学生は、「今度韓国に留学することになった」と報告に来た。
安さんは、「子どもたちが幼少時にここで過ごした時間は無駄じゃなかったんだ」とほっと胸をなで下ろす。教室で子どもたちの元気な笑顔を見るたび、「今日も頑張ろう」と自分に言い聞かせている。
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布施「オリニバン」
能力別にきめ細かく
民団布施支部(許槿一支団長)の「オリニバン(子ども部屋)」はNPO東大阪国際共生ネットワークとの共催。日本の小・中学校を退職したボランティア講師を中心とする4人が、韓半島にルーツを持つ小・中学生を指導している。今年で3年目。
カルタやクイズを取り入れるなどして、韓国語を楽しく学べるように工夫している。このほかノレやチャンゴも。東大阪市を中心に遠くは豊中市からも幼稚園児を含む小中学生12人ほどが通う。なかには学校を休んでも「オリニバン」だけは行きたいという子どもがいるほど。
民族学級との違いについて講師の一人、下村八重子さんは「同じ韓国語を学習するにも、それぞれのレベルにあった内容で対応しているところ」という。
同支部敬老会には、オリニバンの子どもたちがチャンゴ演奏を披露し、ハラボジ、ハルモニたちに喜ばれた。「オリニバン」担当の朱玉同支部副議長は、「今年からは老人会館の慰問や課外学習なども取り入れ、オリニたちがのびのびと学習できるような環境を作りたい」と意気込んでいた。
おやつ代込みで月2000円(在籍者の兄弟姉妹は半額)。
(2012.1.25 民団新聞)