朴相さん作詞・作曲
東日本大震災の甚大な被害に心を痛めた韓国人の朴相さん(40)は、音楽を通じて被災者の力になりたいと、自ら作詞・作曲した「ハムケ ヘヨ(共に)」(韓国語・日本語)を収録したチャリティーアルバム「Peace For Peace‐共に」を制作した。作曲家、音楽プロデューサー、ライブレストランのオーナーなど多彩な顔を持つ彼の呼びかけに、国籍や職業も異なる50人が集まり、心を一つに歌った。
韓国で仲間集い収録
炊き出し会場に流し思い伝える
民団宮城本部(李根団長)、婦人会、青年会が1月14日、石巻市内の追波(おっぱ)河川団地内で行った炊き出しの時、「ハムケ ヘヨ(共に)」の歌が流れた。
みんなの愛が必要/大切な人と暮らせるように/悲しく辛く苦しい時も/私たちはいつまでも、この愛する地球で一つだよ
追波地区は宮城の被災地域でも、子どもや家族を亡くした人たちが多い。一人、二人と被災者の目から涙があふれ出した。同本部の姜恵美子事務局長は「被災された方たちは、辛さを乗り越えて正月を迎えた。曲を流した後、『ありがとう』という声が届いた。朴さんの曲は皆さんの心に伝わった」と話す。
少しでも慰め救いの一助に
東日本大震災の惨状を知り、「在日韓国人と日本の方々が大きな痛みを経験し、また多くの人たちが亡くなったことで私の心もすごく痛んだ。被災された方々を少しでも慰め、また経済的にも精神的にもパニック状態に陥った皆さんのために、全世界が一つになって助けようという気持ちでこの曲を作った」。
朴さんの呼びかけに、障がい者ダンススポーツ世界チャンピオンの権庸愚さん、歌手のハリムさん、日本人留学生、外国人労働者、朴さんが運営する芸能企画事務所の新人グループ「純粋」(スンス)ら50人が集まり、プロジェクトグループ「Peace For Peace」を結成した。
昨年3月末から6月まで行われたレコーディングは、大半のメンバーが日本語が分からず「正確な発音に近づけるために時間がかかった」。また経費を抑えるためにプロデューサーを兼任。連日、編集に8時間以上を費やし過労で2度、応急室に運ばれたことも。
旅での出会い民団と橋渡し
今回、民団宮城本部と朴さんの間を取り持ったのは、仙台市青葉区で営業する「与五郎寿司」専務取締役で、日本人の金田典昭さん夫妻だ。
以前、夫妻が韓国旅行で、たまたま入ったのが朴さんのレストラン「オダリチプ明洞直営店」。店内にあったCD「ハムケ ヘヨ(共に)」販売の義捐金活動のチラシが縁となり、朴さんと出会った。
昨年12月6日、朴さんと金田さん夫妻が来団。朴さんは、1月の炊き出しに仕事の都合で来られなかったが、CD販売の収益金で作ったオリジナルTシャッ150枚が宮城本部を通じて被災者に届けられた。
朴さんはこれから日本で「純粋」のメンバーたちとコンサートを開く計画だ。「被災者たちにもっと、多くの愛と関心を持ってもらうために、日本全国に広めたい」
韓国で、レストランを訪ねてきた日本人客から、「歌を聞いて心から感動した」と言う話を聞くたびに心が温かくなる。これまで、レストランで販売したCDは約300枚。ゆっくりだが注文も増えてきた。
「多くの収益をあげたら、被災者の方たちを支援する最良の方法を考えて寄付する計画です」
「Peace For Peace‐共に」はHMVサイトで購入。価格1302円(税込)。カタログ番号「DK0665」で検索。サイト http://www.hmv.co.jp/
(2012.2.8 民団新聞)