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団長立候補者
呉公太(65) 中央本部・副団長
民団が結成された1946年に、私も生まれました。民団の歩みと私の人生は重なって離れません。私のアボジは、長野本部の草創期から民団活動に参与し、支団長も務めました。そんなアボジの背中を見ながら、民団という器の中で育ったという思いがあります。
学業を終え帰郷した23歳から、民団に関わったのも自然な成り行きでした。計25年間の事務部長時代、支部韓国会館を竣工させ、ポッタリサムソ(風呂敷事務所)から決別した感激は忘れません。
親愛なる中央委員・代議員、そして選挙人の皆さん!
貧困や差別などさまざまな困難の中で、先輩の皆さんが心血を注いで育てたのが民団です。民団は全在日同胞の大事な宝物であり、かけがえのない財産です。私はその財産を継承・発展させる重責を担うことを、人生をかけた仕事にしたいと決意し、立候補しました。
団長に当選した暁に待っているのは、高く険しい山です。その山の向こうに何があるかは見えていません。しかし、「努力を重ねれば能力になる」ことを信じて、力の限り頑張ります。
民団活動で私は、いつもこう戒めています。
1、当たり前のことから新たな価値を引き出す
2、できない理由を探さない
3、聴く耳を持つ
民団には実にたくさんの仕事があります。本当にやれること、やるべきことを見極めたいと思っています。「当たり前だから」と惰性に流され、「仕方がない」と無駄や無理を放置していないか。団員のための組織であるとの本分を忘れ、保身に陥っていないか。
このような観点で、当然視されてきた既存の事業をも整理する半面、継続事業からはより多くの価値を引き出します。しかし、「縮小」だけが能ではありません。全国の団員の声に耳を傾け、切実な要求を集約し新事業として展開します。
私は37年間の長野本部、5年半の中央本部と、約43年の間、民団活動に従事してきました。長野本部の財政自立基盤を整えて以来、「やればできる」が活動者としての私の信条になりました。
団長立候補者の大言壮語で終わらせないためにどんな仕事が骨格になるのか、何を優先すべきかを整理し、果敢に取り組みます。まず、当面課題について申し上げます。
今年は特別な1年です。大統領と国会議員を選ぶ2大国政選挙が同じ年に実施される20年に1回の年であり、在外国民の国政選挙参加元年でもあります。「国民主権」を行使するための環境をつくり、それを全力で組織強化につなげます。
1、2大国政選挙への選挙人登録、投票率を最大化します
1、現地訪問し、点検と相談を通して支部・本部活性化を後押しします
1、団員がもれなく家族関係登録を整理し、旅券を所持できるよう支援します
1、次世代の民族意識覚醒の流れを加速し、青年・学生組織の底辺を拡大します
次に中・長期的な課題について申し上げます。
1、民団各事業の公益性を活用し、基本財政の土台をつくります
1、学校および土曜・課外教室を拡充し、民族教育を振興します
1、韓日市民の共生・連携を強化し、地方参政権運動を再構築します
1、オリニから青年まで、次代育成を空白期のない一貫事業にします
1、新規定住者や総連離脱者など多様な同胞の統合を推進します
親愛なる中央委員・代議員・選挙人の皆さん!
これだけでも大変な努力を必要とします。中央本部からまず、最小コストで最大の成果を上げるよう運営を効率化します。私は、「できない理由を探さない」の気概で、とことん働く覚悟です。
【組織経歴】
70〜72年:民団長野諏訪支部文教課長/72〜97年:同事務部長/97〜2000年‥同支団長/74〜78年:青年会長野本部初代会長(2期)/98〜02年:長野韓国青年商工会初代会長(3期)/76〜82年:民団長野本部宣伝部長、組織部長/87〜02年:同副団長、副議長/02〜05年:同監察委員長/05〜06年:同団長/06〜現在:民団中央本部副団長(2期)
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団長立候補者
金昌植(74) 中央本部・監察委員長
1、20世紀の中の在日同胞の植民地時代の総点検
私たち在日同胞は、植民地時代の辛酸な生活を原体験に持つ宿命の存在であります。その悲哀や苦痛が民族の情となって、相互扶助の暖かい強い絆で結ばれ、それが民団を誕生させる原動力となりました。民団を創設し、以来65年、熱い思いで民団組織を支えた1世が少なくなり、3世、4世の世代になるにつれて、民族の情を喪失して、民団に対する関心も薄れ、民団離れが加速するようになりました。
こうした民団の推移を、私は、支部、地方本部、中央本部の役員としてつぶさに見てまいりました。その経験を踏まえて、植民地時代の原体験を宿しつつ、これからの民団組織を活性化し、民族の情が息吹く、強い民団に再生させたいと願っております。
2、民族教育とオリニ土曜学校の発展
同じ民族という意識は植民地時代は生活の中で感じましたが、現在は民族教育によってのみ感じる意識となりました。同じ言葉、同じ歴史、同じ文化などをもつ存在であることを学ばなければならなくなったということです。家庭教育や民族学校に恵まれない地域では、民団の支部や本部が社会的民族教育の拠点にならなければなりません。
その一つの方法が、幼少期の児童から受け入れるオリニ土曜学校の開設・拡充です。〞三つ子の魂百まで〟といわれますように、幼少期の体験は、青年期、壮年期になっても体の奥深い所から目覚めてきて、民族教育を再開する動機になります。
3、地域社会の住民として地方参政権獲得
重要課題であります地方参政権獲得運動が足踏みをしています。運動のあり方を総点検し、市民運動との連携や友好団体あるいは各政党との協力関係を再構築するなど、運動方針を根本から立て直したいと思います。民団組織を担う人材を全国地方組織から発掘し、共に英知を結集しあって、最善の方策を樹立し、地方参政権を必ず獲得したいと考えております。
4、民族文化を発信し多文化共生社会へ
世界はいま、韓流の波が覆っています。ドラマ、K‐POPなど、韓国の文化の力が力強く世界を駆け巡っています。これは、悠久の歴史の中で培われた韓民族文化の力といってもいいでしょう。民団は、この民族文化の力をさらに発展させ、多文化共生社会を実現していくリード役にならなければなりません。
5、在日同胞の団結と友好
ニューカマーの人たちが、組織強化の一翼を担いつつあります。ニューカマーは1世ですから、民族意識は旺盛で、新しい感覚を持ちあわせています。民団組織は、そうしたニューカマーと手を携え、また、大きな度量で未加入者も受け入れ、さらには日本国籍取得者も同じ民族との意識のもと、より大きな組織に生まれ変わることが重要だと考えております。
6、次世代育成と傘下団体の育成強化
〞組織は人なり〟といわれます。若い後継者が正常に育成されてこそ、その組織は末永く発展していきます。が、残念ながら若い後継者が育っていません。また、民団組織の裾野を支えてくれる傘下団体が強化されてこそ、民団組織も盤石となります。ですから、婦人会や商工会議所はもちろん、体育会、青年商工会、JC、青年会、学生会等とも連携を深め、支援・育成していく考えです。
在日同胞全員が参加してこそ、豊かな同胞社会が構築でき、夢と希望をもって前進することができます。民団はその中心となるべき組織です。ですから、全国の団員から有益な声が届くような組織にしていきたいと考えております。それが「開かれた民団」そのものシステムだと思います。
私は、民団の発展を願う純粋な気持で民団に献身してきました。いまここに、地方を重視する新しい民団を創造すべく、最後の奉仕をしたいと念じております。
【組織経歴】
民団豊能支部支団長2期/民団大阪府本部団長2期・監察委員長2期・議長1期/大阪韓国商工会議所理事・顧問/民団中央本部中央委員・監察委員長2期
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議長立候補者
金漢翊(75) 大阪本部・前団長
尊敬する組織諸先輩の皆様!中央委員、代議員、そして選挙人の皆様!
このたび、私は組織諸先輩および同志の皆様のご推薦を賜り、議長に立候補することを決意いたしました。ここに立候補に際しての所信を申し述べ、皆様方のご支持ご声援をお願い申しあげます。
ここ数年来、同胞社会は大きな転換期を迎え、民団は組織の脆弱化が危惧されています。
特別永住者は1世の高齢化と国際結婚の増加や国籍法の関係で、年々減少し現在40万人ですが、新規定住者は増え、ルーツを韓半島にもつ日本国籍同胞は50万人を超えると言われています。
このような新時代の民団を担う3機関の一員として、議長に課せられた役割は大変重要です。議決機関の使命は、これらの状況を踏まえたうえで引き続き求心力と牽引力を発揮できるような民団を目指して、規約などの見直しを検討することです。そして、中央本部、地方本部、支部が一体となって組織改革を推し進めなければなりません。
そのためには、聖域を設けることなく規約や規定などについて論議を深めなければなりません。
民団は、執行、議決、監察の3機関が協力してこそ団結を強化し発展することができます。そして議決機関には、確固たる信頼と公正な判断が求められます。
私は以上の認識のもと、次のような課題を誠実に実行します。
1、組織活性化に向けて、時代の変化に対応した規約・規定の改正に努めます。
1、執行部を中心に各級機関と連携して「新ビジョン委員会」を設置し各界各層の意見を幅広く集約し、在日同胞の未来を展望します。
1、3機関の信頼を基本とし、議決機関の本分を堅持しつつ執行機関の活動に協力します。
私は、魅力ある民団の創造と活性化を図るため議長に立候補しました。
特別永住者・新規定住者・日本国籍同胞など韓半島にルーツを持つすべての在日同胞が、韓国人としてのアイデンティティーを大切にしながら日本人と同様の権利を有し、地域社会から信頼され共存共栄できるよう、皆様とともに歩んで行きたいと願っています。
40余年の組織経験と6年間の大阪府地方本部団長としての経験を活かして、粉骨砕身努力し、必ずや皆様のご期待にお応えする覚悟です。
来る第52回定期中央大会では、皆様の深いご理解と力強いご支援を心からお願い申しあげます。
【組織経歴】
民団東淀川支部副団長・監察委員長・議長/大阪韓国商工会議所副会長(現顧問)/韓国海外地区JC特友会会長・中央JC特友会副会長/学校法人金剛学園理事長/民団大阪本部副団長・監察委員長・団長
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議長立候補者
王清一(70) 京都本部・前団長
尊敬する顧問そして親愛なる中央委員・代議員のみなさん。
今年は、民団中央をはじめ、全国の約3分の1の府県本部で3機関が生まれ変わります。一時は380もあった全国の支部は、今では280に減りました。
なぜこうなったのでしょうか? 私はずっとこのことを考えてきました。結論は民団の選挙に参加する機会があたえられていなかったことだということです。
皆さん! 韓国は昨年貿易高が1兆㌦の国になりました。世界の10本の指に入るほどの国になりました。韓国の世界への広まりと存在感は高まる一方です。
貿易のみならず、自動車・家電・韓流ドラマ・K‐POP・スポーツ・ファッションなどの世界進出、そしてハングルのユネスコ登録があり、インドネシアのチアチア族、ボリビアのマイアラ族による自分たちの文字として韓国語の採用がありました。このように韓国の世界への広まりと存在感は高まる一方です。
祖国は世界へ広がっていき、私たちの民団は縮んでいっています。50年以上にわたり500人そこそこの委員・代議員によって30数人の中央団長を選んできた縮み志向の民団。
在日が生まれ変わるためには、政策論争のできる民団を創ることです。
私の思い描くシミュレーションは①多くの関係者がお互いに刺激しあい、共鳴しあいながら香り高い文化を創造するマダンとしての民団づくり②日本の中に共生社会を構築する拠点としての民団づくり③在日100年の歴史を踏まえつつ、これからの100年を展望し、明るい未来をつくるための在日の原動力としての民族教育を重視する民団づくりです。
日本に住み続けることで100年を過ぎた在日は、民族教育によって生まれ変わるべき時期を迎えました。
そして「生まれ変わった在日と、生まれ変わった祖国が出会う姿を子どもや孫たちに見せてあげましょう」。
子どもたちは在日と祖国の両方に自然とプライドを持つようになるでしょう。
祖国を思いながら、在日を愛し、在日に根付きながら祖国に連なり、世界に羽ばたく民団を創りましょう。
私たちの誇りある民団の10年、20年後の姿をしっかりと見据えつつ、変革の風を中央から地方へ、地方から支部へと送るようにしたいと熱望しています。
どうか皆様の深いご理解と温かいご支援をお願いいたします。
【組織経歴】
・民団中央本部副議長
・民団京都府本部団長
・京都国際学園理事長
・在日韓国奨学会理事
・更正保護法人京都保護育成会理事
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監察委員長立候補者
韓在銀(69) 中央本部・副団長
親愛なる中央委員・代議員ならびに選挙人、そして組織先輩の皆様!
民団歴41年の私はこの5年半、中央本部副団長として、5・17事態によって失われた民団の信頼回復と組織再活性化のため、微力ながらも誠心誠意努力してきました。
貴重な経験によって、民団が未来を切り拓くには執行部の能力もさることながら、民団力量の消耗・損傷を未然に防ぎ、生産的な方向に集中させる強靱な監察機関が必要だと痛感しました。
監察機関は規約運営をはじめ会計、団務一般のほか「保安事項」を監察します。執行部を叱咤し激励するだけでなく、組織防衛という重い責務が課されているのです。しかし、「保安事項」について責務が全うされて来たとは言えません。
民団を総連・韓統連と秘密裏に野合させ、北韓独裁の言いなりになる統一戦線組織に組み入れようとした06年の5・17事態は、民団を破滅の淵に追いやりました。東京本部の監察委員長であった私は、組織正常化のために全国の幹部皆さんとともに死力を尽くしました。
5大綱領の筆頭に「大韓民国の国是を遵守する」を掲げ、韓国の憲政秩序を守護する立場にある本団には、毅然とした姿勢が求められます。宣言・綱領が明示した民団理念を具現するために、北韓独裁の走狗である総連、韓統連の浸透を許すわけにはいきません。
在日同胞の求心体である民団の使命遂行に向け、私は持てる力のすべてを本来の運動・事業に注ぎ込めるよう、監察機関の立場から組織整備・強化の先頭に立ちます。
中央委員・代議員ならびに選挙人、そして組織先輩の皆様!
発展する民主的で開かれた民団にするために、私が当選した暁には、健全な監察機関をめざし、次のように約束します。
1、問題の発生を未然に防ぐべく、理念・規約の守り手である本部・支部監察機関任員の資質向上を図り、合わせて相互連携を強化する。
1、提起された監察事案については、不羈独立の立場から厳正中立、公明正大な姿勢で臨み、なおかつ迅速に処理する。
1、団運営は監察機関の本分に基づき、「和して同ぜず」の心構えで臨み、いっそうの効率化と透明化を促す。
未熟ではありますが、民団を愛する思いは誰にも負けないつもりです。ご支持を賜りますようお願い申し上げます。
【組織経歴】
84〜86年:民団東京江戸川支部国際課長/86〜92年:同副団長(2期)/92〜95年:同監察委員長/95〜01年:同支団長(2期)/01〜04年:民団東京本部副団長/04〜06年:同監察委員長/06〜現在:民団中央本副団長(※現在、江戸川支部常任顧問、民団東京本部顧問)
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監察委員長立候補者
孫京翼(71) 中央本部・監察委員
敬愛する中央委員・代議員・選挙人の皆様、いつも組織の為にご尽力を惜しまない諸先輩、団員の皆様!
わが祖国と同胞社会の繁栄、民団組織の発展と強化の為、日頃献身的に活動されておられることに敬意を表します。
東日本大震災により被災された多くの団員様には衷心よりお見舞い申し上げます。
私は、今、組織の弱体化と言われるなか、組織の力を結集しなければならないと思い、1世の強靭と粘り強さをもって取り組んでいく所存です。
この3年間、民団中央本部が推進するさまざまな活動を積極的に応援しつつも、監察委員として厳正中立の立場から諸規約に照らし、誠をもって適切に対処してきたと自負しており、この貴重な経験の集大成として長年愛してきた民団への、ご指導、ご支援いただいた諸先輩、後輩皆様への恩返しとして今般立候補致しました。
組織の中で監察機関は独立かつ高潔な精神を持ち、3機関の調和と団結を引き出す要の役割が求められると認識し、規律遵守とともに大事な両輪として、執行部を取り締まるだけの監察機関ではなく、民団全体が元気に、同胞がひとつになるよう和を重視して参ります。
昨今、商工会議所との不協和音が取りざたされておりますが、規約遵守の観点から解決されなければならないと思っており、組織の根幹たる規約はいかなる場合でも最優先視されなければなりません。我々には幾多の困難も乗り越えてきた知恵があります。
韓民族の誇りを持ち、生活共同体として日本社会とも共存を図り、地方参政権の獲得、同胞経済の安定化支援、高齢化問題、脱北者支援の枠組み、在外選挙権の行使、社会貢献など、民団が早急に取り組まなければならない課題は山積しており、今迄とは一味違う監察機関として公明正大を基本信条に諸問題に真摯に対処していくことを約束し、次の公約を表明いたします。
1、和を重視するも、諸判断の基準は規約を最優先します
2、民団の抱える諸問題の解決に寄与する新しい監察機関を目指します
3、厳正中立な監察機関として不羈独立の高潔な精神を貫きます
4、民団財政の健全化を積極的に支援します
5、監察機能強化の為、地方本部監察委員の教育を実施します
【組織経歴】
73〜76年:民団福島県地方本部教育委員/76〜79年:同教育委員長/79〜90年:同副団長/90〜96年:同団長/96〜03年:福島商銀信用組合副理事長/01〜04年:福島韓国商工会議所会長/06〜現在:民団中央本部監察委員/97〜現在:民団福島県地方本部顧問/04〜現在:福島韓国商工会議所顧問
(2012.2.8 民団新聞)