民団中央、愛知が義捐金
【宮城】東日本大震災で倒壊した民団宮城仙北支部(姜花子支団長)の新会館が完成した。建設費用1000万円は民団中央本部と民団愛知本部(鄭博団長)からの義捐金を充て、残りを団員40世帯が力を合わせて捻出した。同胞の絆が民団会館をよみがえらせたかっこうだ。26日の落成式には中央本部の呉公太新団長、鄭進前団長、愛知本部の鄭団長、宮城本部の李根団長をはじめ関係者70人余りが駆けつけた。
被災団員も協力
新会館は24坪のこじんまりした木造平屋建て。玄関に掲げた「民団宮城仙北支部」の真新しい看板がさりげなく存在感を主張していた。規模は旧会館当時とほぼ変わらない。内部は2DKの仕様。玄関を入ってすぐの6畳の部屋を事務室として使っている。台所を抜けると奥には、20畳ほどのゆったりとした集会室を設けてある。
旧会館は被災のために基礎がずれ、建物全体が約10度傾いた「全壊」。出入りするのも危険な状態だった。建て直すにしても、工事費用1000万円は、震災で疲弊した団員家庭には負担が大きすぎ、「どう考えても無理」だった。
なすすべもなかったところ、民団愛知本部が超過達成した震災義捐金の一部500万円を「民団のために」と申し入れた。鄭・愛知団長は、「義捐金のノルマは達成したので、超過分は傘下団体とも協議したうえで民団のために使ってもらうことにした」と話す。
民団中央本部からも300万円の支援を受け、民団仙北支部の団員を対象とした募金に一段と拍車がかかった。なかには津波で生活の糧とする店を失った団員もいたが、「民団のためならば」と募金に協力してくれたという。
新会館建設に向け諸々の実務を担当してきた厳由美事務部長は、「県本部は支部より大変なのに、助けてくれなどとは言えなかった。民団愛知と民団中央の支援がなかったらおそらく新会館建設は無理だったでしょう。このたびは組織の力の大きさを実感した」という。
地元大崎市は旧会館の解体費用の9割近くを支援した。通常、自治体が解体費用を支援できるのは住居だけ。民団会館のような集会所は例外中の例外だった。ここには民団が自治体との間で培ってきた信頼関係がうかがえる。
落成式典席上、姜支団長は中央本部の呉団長と愛知本部の鄭団長にそれぞれ感謝状を贈った。このほか、民団中央本部から呂健二前副議長、婦人会愛知本部からも徐美也子会長らがお祝いに駆けつけた。婦人会宮城本部(李京子会長)は婦人会仙北支部役員とともに心づくしの料理で来客を歓待した。
姜支団長は、新会館を市民共有の財産としており、一般市民にも開放していく考えだ。
(2012.2.29 民団新聞)