民団中央本部と関東地方協議会および中央傘下団体の代表ら約40人は13日、脱北者の強制送還に反対する声が韓国国内に止まらず国際的にも高まるなかで、中国当局が脱北者を強制送還したことに抗議して東京都港区元麻布の中国大使館前でデモを行い、強制送還の即刻中止と脱北者の保護および希望国への出国許可を強く促した。
難民条約順守促す
代表らは「脱北者は北韓当局の過酷な抑圧と飢餓から逃れるために、命がけで中国に入った。無条件不法越境者として拘束し、厳しい処罰と生命の危機が予想される北韓への強制送還は到底許されない」と抗議した。
「中国は、国際社会の責任ある大国だ。迫害国への強制送還を禁じた難民条約や拷問等禁止条約に加盟しており、これを順守する義務がある」と強調。さらに「脱北者は我々の同胞だ。中国は人道主義と普遍的な人権保障の観点から、率先して保護し、希望する国に出国させなければならない」と訴えた。
北韓人権国際活動家連帯など消息筋によると、現在、中国全域に収監されている脱北者は約400人で、このうち約300人が1カ月内に北韓に送還されるとみられる。この数カ月間、北韓に送還された脱北者も月平均300人に達するという。韓国の情報機関では、中国が脱北者を毎月300〜400人ずつ、年間4000〜5000人逮捕し、強制送還していると推測している。
中国社会科学院統計によると、98年から06年まで、中国は毎年少なくとも4800人、多い場合には8900人の脱北者を送還してきた(3月7日付東亜日報)。このことから、脱北が本格化した90年代中盤以降、約10万人が送還されたという推定が可能だ。同時期に韓国入りした脱北者は約2万人で、脱北者1人が自由を勝ち取るのに対し、5人が送還されたことになる。
韓国政府筋によると、北京の韓国大使館と上海、瀋陽の領事館では、韓国戦争時の韓国軍捕虜の家族5人を含め、約10人の脱北者が出国できないまま、3年近く館内生活を余儀なくされている。
脱北者問題について、国連の潘基文事務総長は8日、韓米外相会談のため訪米中の金星煥外交通商部長官との昼食会で、「韓国政府と深い懸念を共有している」と表明。「国連は関連国が要請する必要な支援を提供する準備ができている」と強調した。
(2012.3.14 民団)