掲載日 : [2003-07-17] 照会数 : 5943
日本に広がれ 在日女性グループが自主活動(03.7.16)
[ 左から良淑さん、尚香さん、佳奈さん、玉貴さん ]
草の根イベント開催…音楽性の高さ知らせたい
韓国留学中にK―POPにはまった在日同胞女性を中心とした5人が、日本で韓国音楽の草の根イベントを始めようと2001年に立ち上げたグループ「Coopalu」(クーパル)。先月14日、新宿で1年振りに開かれた4回目の企画「クレイジー・ソウル」では予想を上回る200人以上の来場にうれしい悲鳴をあげた。K―POPを通じて在日同胞、韓国人そして日本人が集える交流の場として人気を集めている。
4回目の「クレイジー・ソウル」開催当日、会場は熱気にあふれた。入りきれず、やむなく帰る人も続出した。満員状態の会場では、紫雨林や神話、ソテジ、SESなど韓国で人気歌手の曲にあわせて、ほとんど全員が踊っていた。
「クレイジー・ソウル」参加者は在日同胞だけでなく韓国からの留学生や日本人が大勢詰めかけ、音楽を媒介に交流を深めている。
クーパルは在日同胞でリーダー格の金良淑さん(31)、金玉貴さん(27)、黄佳奈さん(27)、李尚香さん(26)、そして日本人の加藤一菜さん(25)の5人で構成される。
グループ名の「クーパル」は、5人の留学時期が重なった98年の「9」と「8」を韓国語で発音したもの。イベントの開催は、韓国留学中にK―POPの音楽性の高さに惹かれていった5人が、日本の若い世代に知ってもらいたいという強い気持ちから実現した。
やることなすこと全てが初経験の5人。初めての会場探しでは新宿、渋谷の町を歩いて探した。予算も何も分からない中で、とにかく体当たりで始まった。
3カ月の準備期間を経て、初のイベントは01年3月31日、新宿で開催。口コミやホームページなどを活用し、みぞれ交じりの雨の中ながら、予想に反して会場に入りきれないほどの人が集まった。全体予算も20万円以内で収まり、なんとか赤字は避けられたという。
同年10月6日に行った2回目のイベントでは、開催時間の問題などで集客が前回の約半分に落ち込んだ。「普通、クラブは夜から盛り上がる。予算の関係で当日午後4時から9時までやったけど時間に無理があった」と良淑さん。02年4月13日の3回目では、開催時間にも気を配ったことが功を奏し、大勢の人たちが会場を訪れた。
イベントで使うCDは各自の持ち寄り。韓国へ行った際に購入した、それぞれがお気に入りのものだ。慣れないながらもDJを交互で担当するのも特徴だ。初回から欠かさず参加する馴染みもいるという。「素直に嬉しい」と尚香さん。「素人っぽさがいいのかな」と玉貴さん。
「K―POPを聴いたことのない人が来ても楽しめるイベントを」がスローガンだ。クイズタイムやリクエストタイムなどの工夫も凝らした。
佳奈さんは「音楽から韓国の良いところを知ってもらいたい。イベントに参加して韓国というキーワードが心に残ったらうれしい」という。
K―POPについて「ダサカッコイイ」と表現する尚香さんも「日本の人に好きな歌手の歌を聞いたときに、韓国の歌手の名前が普通に口から出てくればうれしい」という。
参加者の中には昨年開催されたW杯を機に、K―POPが好きになった人も少なくない。今、K―POP人気が日本でブレイクの兆しをみせる中で佳奈さんは「この勢いに乗りたい」と話す。
毎回、反省点や課題は残る。それを踏まえながら次回へつなげていく情熱はさめていない。5人の女性がはじめた手作りのイベントでの交流の輪が着実に広がっている。
(2003.7.16 民団新聞)