掲載日 : [2003-08-20] 照会数 : 2913
第58周年光復節 盧大統領の慶祝辞全文(03.8.20)
北はこの機会逃さず核放棄を
解決後には平和体制と軍事的信頼構築へ協議推進
10年内に自主国防基盤構築…韓米同盟の強化と矛盾せず
尊敬する国民の皆さん。そして、海外同胞の皆さん。
今日は本当に意味深い日です。58年前の今日、私たちの父、母は日本の帝国主義の圧制から解放されました。盗まれた国と自由を取り戻しました。それから3年後には民主共和国を作りました。国民が主人になる国を建設したのです。
そして、今日私たちはこのような解放と建国の歴史の上に自由を満喫し、新しい未来を準備しています。本当に感激深いことであります。
私たち国民は子々孫々永遠にこの日を記憶し、記念します。当時、悪賢く無慈悲な弾圧、全世界が息をのみ、信じていた同志たちでさえ、とてつもない無力と経済力に驚き、希望を捨て日帝にこびていました。そんな絶望的な状況でもただ歴史と大義に対する信じる心一つで命を捧げてきた愛国先烈たちの崇高な献身を私たちは永遠に忘れません。
国を愛する国民の皆さん。
国民の皆さんは、ただ今日を記念だけしてすませてはいないことでしょう。どんなことがあって私たちが国を失うような恥ずかしいことになったのか。再びそのような恥ずかしい歴史が繰り返されるのではないのか。どうすれば子孫に不幸な歴史を譲らなくてすむのか。怒りと願望と恥じらいがもつれる思いで新しい誓いをたてていると思います。
わずか100年前、私たちは国を守る軍隊も、軍隊を作る経済力もありませんでした。急変する世界秩序を読み、新しい秩序に対処する方法をたてる知恵も国民の意志と力を一つにまとめる力もありませんでした。
しかし、今は違います。私たちは全世界が驚くくらいの経済的成功を成し遂げました。現在、情報化時代の先頭走者で世界の注目を集めています。民主主義の発展にも全世界が賛辞を送っています。強い経済と民主主義の上に、忠誠心あふれる強い国軍が国を守っています。
私は米、日、中3カ国を訪問しながら韓国の位置を再確認しました。3カ国すべてから私は丁重な礼遇を受けました。そして、韓国人であることの意味が、北東アジアの秩序に重大な影響力を行使しているという事実を再確認しました。
抑圧と収奪で自主的発展の機会を剥奪された植民地の歴史と分断された痛み、そして同族相殺の戦争から立ち直り、国をここまで発展させてきた国民の皆さんに心からの尊敬と賛辞を惜しみません。
■経済の成功
尊敬する国民の皆さん。
今、もう一度誓いましょう。二度とその恥辱の歴史を繰り返さないようにしましょう。成長する私たちの子どもは、より豊かで安定した社会で韓国と歴史を自慢に思い、おのおのの夢を自由に広げながら堂々と世界秩序に参与し主導する国民として生きるようにしましょう。
経済と安保をより強固に固めなければなりません。分断を克服し韓半島と北東アジアに平和と繁栄の秩序が定着しなければなりません。
決して簡単なことではありません。まず、国民が一つにならなければなりません。そうするならば、民主主義をもっと発展させ対話と妥協の文化の根を下ろさなければなりません。国民すべてが尊重し育てなければならない原則と大義名分をはっきりしなければなりません。
経済の成功が重要です。経済の成功なくしては他の成功も難しいのです。これから10年以内に国民所得2万㌦時代にしなければなりません。
すでにいろいろな事例を申し上げた通り、政府は技術革新と人材養成、市場改革と社会文化の改革、そして、北東アジア時代と地方化時代を競争力強化戦略として採択し、実践に拍車をかけています。
国民の生活を安全にし、長期的な成長潜在力を高めるためには、住宅価格をはじめ、不動産安定政策を持続的に推進し進めていきます。
先進労使文化の定着のための対策も近いうちに発表します。労使間の葛藤と対立が私たちの経済の足を引っ張ることのないようにします。
開放は延ばすことのできない大勢です。自由貿易協定も積極的に推進していきます。開放によって農民たちの被害に対しても根本的な対策を立てています。
教育も競争力を後ろ盾になるように改革していきます。
私はこのような政策を任期内に一貫して推進していきます。決して一時的な人気に執着はしません。そのようにすると、任期内に2万㌦時代の土台準備ができ、任期後にも私たちの経済がもっと速い速度で成長すると確信しています。
中国が急速に成長しています。しかし、恐れるほどではありません。私たちも一生懸命努力しています。北韓の核問題が解決したら、南北間の平和と協力の糸口が見つかり、ついで北東アジア時代が開けます。北東アジア時代が開けたら中国の発展は私たちの経済が一段階跳躍することができるいい機会を提供することです。私たちの努力次第です。
今のところの難しさもよく知っています。青年の失業が増え、信用不良者が300万人を超えています。さらに生活苦に耐えることのできない人たちの気の毒な死に接した時、本当に胸が痛く、申し訳ない限りです。
しかし、この困難もすぐに解決します。その間、政府は経済システムが崩れたり、成長潜在力が損傷しないように最善を尽くしてきました。
今は、これら苦痛を受けている方々のために対策を準備しています。経済が回復した時に貧富の格差を少なくし、頼るところもなく死にまで追いやられる人がいないように社会安全網をもう一度整備します。産業と学界と研究の共同プログラムを大幅拡充し、青年失業に対し恒久的な対策も立てています。
■自主国防
尊敬する国民の皆さん。
駐韓米軍問題をめぐって国民の意見が分かれています。一方では在韓米軍の一部が縮小したり、配置だけ変えても国の安保が危うくなるとして再配置に反対します。一部ですが、もう一方では駐韓米軍が国の自主権を侵害するとして撤収を主張します。
国民の間でお互いに承服しない対立が継続するのではないか憂慮されます。双方すべてが過去の理念的対決時代の論理に埋没し、歴史と現実を冷静に見ることができないのではないかという心配を消せません。
6・25戦争で米軍は数多くの若者の命を捧げ、私たちの自由を守ってくれ、今日までこの地の自由と平和を守っています。これからも北東アジアの平和と安全を維持することに寄与すると確信します。そして、私たちは、その平和の土台の上で今日の成功を成してきたし、これからもそうしていきます。
しかし、そうだとしても私たちの安保をいつまでも駐韓米軍に依存する考えも正しくありません。自主独立国家は自らの国防力で国を守らなければなりません。私たちの国軍は6・25戦争を経た後、着々と成長し、十分に国を守れるだけの規模を持っています。それでもまだ、独自的な作戦遂行の能力と権限を持てずにいます。
米国の安保戦略も随時変わっています。米国の戦略が変わるたびに国防政策が揺れ動き、国論が渦巻く混乱を反復すべきではありません。対策なく米軍撤収反対だけを叫べばすむことでもありません。今や現実の変化を受け入れる時が来ました。
私は任期期間中、今後10年以内にわが国の軍隊が自主国防の力量をもつことができる土台を準備しようと思います。そのためには情報と作戦企画の能力を補強し、軍備と国防体系もそれに合わせて再編していきます。
駐韓米軍の実質的な戦力が弱化しないことを前提に、部隊の再調整も受容しようと思います。「龍山基地」は可能な限り最短のうちに、移転しようとしています。駐韓米軍第2師団の再配置など全般的な再調整は、北韓の核問題と韓半島の安保状況に合わせ、その時期を調節し、施行するようブッシュ米国大統領と協議します。
政府が樹立されて55年になりました。世界12位の経済力ももちました。今や自らの責任で国を守る時がきました。
■韓米同盟関係
尊敬する国民の皆さん。
私たちが自主国防をしても韓米同盟関係は、より強固にしなければなりません。世界の大部分の国々が相互同盟または集団安保同盟で平和体制を管理しています。
自主国防と韓米同盟は決して互いに矛盾するものではありません。相互補完の関係です。北東アジアの秩序が平和と繁栄の秩序に発展しても、一方では対立と葛藤の潜在的可能性が継続して存在します。この間、韓米同盟関係は、北東アジアの平和と安定の中心の役割を果たすことでしょう。
平和を愛する国民の皆さん。
■平和体制構築
強い軍隊と発展した経済だけでは、国と国民の安全を完全に保障することはできません。戦争が起きないようにすべきです。韓半島と北東アジアに平和体制を構築しなくてはなりません。
ヨーロッパは50年前から共同体の秩序を出帆させ、平和と共同繁栄の秩序の秩序を構築し、今や国家間の統合の道に入っています。長い歳月、続いた戦争で生じた対立と反目の壁をほとんど壊し、その上に和解と統合の秩序を立てています。 私は政治を始める前から、ヨーロッパがつくっていく新しい歴史をうらやましい目で見つめました。89年にベルリンの壁が崩壊し、東欧圏まで統合の秩序の中に編入されました。その過程を見守りながら、地域協力を通じた平和と共同繁栄の秩序が世界的に拡散していくことが、21世紀の世界史の潮流になるのだということを信じるようになりました。
北東アジアにも協力と統合の新しい秩序を作っていかなければなりません。それで二度と強大国の間でどこに頼るかをめぐって争い、恥辱を受ける歴史を反復しないようにしなければなりません。これが私の「北東アジア時代」構想の核心です。
それだけでなく、北東アジア時代は私たちにそれ以上の機会を約束しています。ヨーロッパの人口の4倍になる巨大な市場が早い速度で成長しています。ここにヨーロッパと同じ協力と統合の秩序が占めるようになれば、北東アジアはそれこそ世界経済の中心に上るでしょう。
韓国はその中心にいます。新しい秩序の中で北東アジアがこれ以上世界の辺境ではないように、韓国もこれ以上辺境にはないでしょう。
数百年間、私たちを萎縮させた辺境の運命から脱して、周辺の強大国と肩を並べて堂々と世界の秩序を一緒に引っ張っていく誇らしい国になります。国と国民の運命が変わっていくのです。
■核と南北関係
国民の皆さん。
平和と繁栄の北東アジアの時代に向かう足元に、北韓の核問題と南北関係が横たわっています。この問題を解決しなくては、平和と繁栄の北東アジアの時代もありません。まかりまちがえれば、韓半島問題が北東アジアの新しい葛藤の原因にもなります。それは私たちすべてを不幸に陥らせる結果となります。
北韓の核問題は早急に解決されなければなりません。そして必ず平和的に解決されなければなりません。私たちは戦争が終わって50年過ぎた今日までも同族相殺の傷をなおすことができず、苦痛を抱いています。再び不幸なことが繰り返されるなら、わが民族は想像さえできないとてつもない傷を負うことになるでしょう。
私はこのような事情を友邦国の指導者たちに切実に説得しました。幸い北核問題は今や解決の糸口が見え始めました。
北韓はこの機会を逃さないようにしなければなりません。核を放棄し、改革と開放を成功させなければなりません。核兵器は決して体制保証の安全弁にはなりません。かえって孤立と危機を自ら招く禍根となるだけです。
今や北韓が核を放棄すれば、私たちは北韓の経済開発のために、前面に立ちます。隣国と協力し、国際機構と国際資本の協力も引き入れるでしょう。そうすれば、新しい北東アジアの時代が開かれ、北韓は早い速度で発展し、平和と繁栄をともに分かち合うでしょう。
去る2000年の6・15南北共同宣言は、南北韓だけの合意ではありません。世界に向けた平和の約束でした。この約束は必ず守られなければなりません。
私たちは現在、推進中の各種協力事業を継続推進していきます。金剛山観光事業も継続されるようにします。今後北核問題が解決されれば、南と北は平和体制構築と軍事的信頼構築のための協議を本格的に推進していかなければなりません。
■統合と革新
尊敬する国民の皆さん。
今、私たちの前に新しい時代が開かれています。私たちに苦難と試練を与えた帝国主義と冷戦秩序は、歴史の後方に消えていきました。その場に和解と協力、平和と共存の新しい秩序が芽生えています。私たちの運命を私たち自ら開拓していく時代が到来しました。 北東アジア時代の主役に跳躍するか、そうではなくその入り口で立ちどまってしまうかは、今、全的に私たちの選択に任されています。
私たちが行くべき道ははっきりしています。分裂と葛藤を克服し、国民統合の道を歩むべきです。そして、その統合された力で経済を改革し、政治を革新しなければなりません。政府も変わらなくてはならず、企業と勤労者もみんなが変化しなくてはなりません。「統合と革新」それだけが、今、私たちに与えられた時代の流れにあわせ北東アジアの中心国家に跳躍できる道です。
私たちにはできます。冷戦の産物である分断と戦争、そして長い軍事独裁も私たちの前進を妨げることはできませんでした。「金(きん)集め運動」で外貨危機を克服し、一つとなった歓声でワールドカップ4強神話を成し遂げたわが国民です。心を集めれば、そして決心さえすれば成し遂げられないことはありません。
自信をもって挑戦しましょう。力を集め、一緒に前進しましょう。そうして北東アジアの平和と繁栄を主導する誇らしい大韓民国を次世代に継承しましょう。
(2003.8.20 民団新聞)