掲載日 : [2003-09-03] 照会数 : 7433
関東大震災80周年・首都圏の民団が追悼式(03.9.3)
[ 千葉船橋支部でとり行われた犠牲者への祭祀 ]
[ 埼玉・長峰墓地(上)と横浜宝生寺の慰霊祭
]
〞いわれなき虐殺〟に冥福
千葉、埼玉、神奈川でも民団幹部ら参列
1923年9月1日、マグニチュード7・9の関東大震災から80周年を迎えた1日、民団の東京、神奈川、埼玉、千葉では、いわれなき虐殺の犠牲となった同胞を弔う慰霊祭が開催された。80年前のいわれなき虐殺に思いをはせながら、犠牲者に冥福を祈った。
■□
千葉ー船橋支部で祭祀執り行う
【千葉】千葉では、船橋市がもっとも多い犠牲者を出したとあって、民団船橋支部が追悼の祭祀を執り行ってきた。
今年も1日、市内にある船橋支部で崔支団長、宋信彦議長はじめ各支部の支団長、千葉県本部の梁源昊議長代行、柳文子婦人会本部会長ら30余人が参列した。
会館3階には、魚、肉、果物などを並べて祭壇がしつらえられた。震災が起きた11時58分を期して黙祷が捧げられた後、崔支団長は、船橋市内でも多くの同胞が犠牲となった歴史を繰り返さないと誓った。
犠牲者の霊に酒を供えながら、2度の大礼で冥福を祈った。参列した民団幹部も次々と礼を捧げた。
千葉では、東京に近い船橋市で70人以上におよぶ同胞が、流言飛語に踊らされた自警団などによって虐殺された。
■□
埼玉ー3自治体で追悼の式典
【埼玉】少なくとも250人余りの在日同胞が犠牲になったとされる埼玉県内では1日、虐殺現場となった県北の本庄、上里、熊谷の2市1町で今年も自治体主催の慰霊法要(追悼)式典がしめやかに執り行われた。各慰霊祭には民団と婦人会から本・支部役員をはじめとする50人余りが駆けつけた。また総連県埼玉・県北部支部からも李明元委員長をはじめとする関係者多数が参加した。
本庄市の長峰墓地では「朝鮮人犠牲者慰霊碑」の前で茂木稔市長が「二度と繰り返さない」と反省の言葉を述べ、在日同胞団体を代表して民団埼玉県本部の景民杓副団長が「虐殺の事実は決して忘れることはできないが、過去の不幸だった歴史を風化させることなくここから新たな教訓をくみ取ってほしい」という馬秉楽団長名の追悼辞を代読した。
本庄市史によれば、市内では、狂乱化した自警団の前になすすべもなく、中山道やはなはだしくは本庄警察所の演武場などでも虐殺を許した。市内では記録に残っているだけでも在日同胞86人がいわれなく殺された。
上里町は安盛寺に建つ「朝鮮人犠牲者慰霊碑」の前で慰霊法要が、熊谷市でも市内の「メモリアル彩雲」で追悼式が行われた。
■□
神奈川ー宝生寺で慰霊祭
【神奈川】民団神奈川県本部(殷鍾七団長)でも1日、横浜市南区にある宝生寺で虐殺の犠牲となった同胞を弔う慰霊祭を執り行った。
大震災翌年の24年から法要が執り行われた歴史を持つ。70年に境内に建立された慰霊碑前には殷団長、尹隆道議長、金次永監察委員長の3機関長はじめ顧問、各支部幹部、また金正秀駐横浜領事ら60余人が参列し、碑前で犠牲者の冥福を祈った。
殷団長は、「韓日関係を構築する上で正しい歴史認識がとりわけ必要であり、この地において、再びあの悲劇が起こらないことを誓う」と追悼の言葉を捧げた。
■□■□■□■□■□■
関東大震災と朝鮮人虐殺
1923年9月1日午前11時58分、関東地方を襲った大地震は、東京を中心に関東一円に甚大な被害をもたらした。地震による火災や家屋倒壊など大混乱の中で、「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れた」などの流言飛語に惑わされた自警団などにより、何の罪もない同胞、6500余人が虐殺される悲惨な事態となった。
(2003.09.03 民団新聞)