掲載日 : [2003-09-18] 照会数 : 4712
広がる老人福祉活動 民団支部会館を利用(03.9.17)
[ 民団滋賀・湖西支部の「トラジクラブ」 ]
各種ケア・サービス実施
1世の強い要望に応え…大阪・兵庫など関西地区中心に
民団が支部会館を利用して実施している老人福祉活動が広がりを見せている。大阪など関西地区を中心に公的な補助を受けたデイサービスや老人会とタイアップした食事サービス付きの会など、形態は様々だが、地域の状況に応じたケア・サービスが行われている。
現在、会館を利用した老人福祉活動が行われているのは、大阪では泉北、布施、平岡、八尾、西成の5支部。この5支部は、支部会館を改装して、大阪府や大阪市が助成し、民間に委託する形で展開する公的なデイサービスを実施している。
その先べんを切った泉北支部は、98年8月にスタートし、先月6日には開設5周年を祝う式典も開かれている。また、今年5月、民団として初めて大阪市の委託を受けてデイハウスを開設した西成支部は、9月には要介護者を対象とした通所介護事業所も併設するなど参加対象者の幅を広げて活動するなど、注目を浴びている。
滋賀では、湖西支部が敬老会とタイアップして、月に1度の「トラジクラブ」を3年にわたって続けている。支部役職員や婦人会が丹誠込めた韓国料理が並ぶ中で楽しい交流ができるとあって、心待ちにしているお年寄りがほとんどだ。
兵庫では、阪神支部が今年6月から、お年寄りへの給食サービスを実施する「ウリチプ」をスタートさせている。神戸市から助成金を受けてのサービスは民団兵庫の中で初めて。
5支部がデイサービスを実施している大阪では、支部会館を活用したデイサービスの研究を初めている支部もあり、老人福祉が大きく広がる勢いにある。また、同胞が多く居住する関西圏の支部でも開設への意気込みを表明しているところもある。
日本では、各地域ごとに老人ケアサービスが実施されている。しかし、日本語での意思疎通が不得手なうえに、食事も口に合わない1世たちにとっては、敷居が高いため、利用者は多くはない。このため、多くの1世から「自分達だけで集まれる場所がほしい」という強い要望に応えたのが支部を利用したデイサービスなどの事業であった。
すでに民団で実施されている老人ケア活動では、キムチやチゲ、ナムルなどの韓国料理を食べながら、故郷の方言で楽しく語り合うハラボジやハルモニの楽しそうな姿が支部に溢れている。
日本の福祉事業は、各種事業に助成金制度を設けており、支給の判断は市町村にゆだねられている。支部で老人福祉活動を開設する場合は、まず自治体との交渉が必要となる。民団中央本部では民生局の指導のもとに、自治体との交渉をはじめ開設への指導、ケアの取り組みなどを具体的に指導するための福祉チームの構成を急いでいる。
(2003.9.17 民団新聞)