掲載日 : [2003-09-25] 照会数 : 4151
まだまだ現役ハラボジ・ハルモニ 高己生さん(03.9.24)
韓国食品「高田商店」経営 高己生さん(85)
30年間1日も休まず…店の営業が生き甲斐に
大阪市生野区桃谷のコリアタウン―。通称「朝鮮市場」として知られる。ノリやチャンジャなど韓国食品やキムチを売る店、綺麗にディスプレイされた色鮮やかなチマ・チョゴリ用の生地を並べた店が軒を連ねる。韓国の下町そのものだ。
黙々とニンニクの皮をむきながら、「店は生き甲斐や」と無邪気に笑うのは朝鮮市場で「高田商店」を経営している高己生さんだ。
店先には、モヤシやコサリ(ぜんまい)、プルコチュ(青唐辛子)、ノリなどたくさんの韓国料理に欠かせない食材のほか、ハルモニ自慢の数種類のキムチが美味しそうに並ぶ。
27歳で夫を亡くし、3人の子どもを済州道に残して、今の店の隣に住んでいた親戚を頼って大阪へ渡ってきた。女性用のパンツを作って売ったり、鶴橋で仕入れたワカメを売り歩き、たくましく生き抜いてきた。
言葉もままならず、道に迷って家の方向も分からなくなった時に、通りを歩くチマ・チョゴリを着たおばさんを見つけ、ウリマルで道をたずねることができた時は「神様にでも会ったよう」にうれしかったと昔をなつかしむ。
35歳から20年間、今の店から数百㍍離れた道端で自家製のキムチを売った。苦しいと思ったことはない。少しずつ固定客も増え始め、今の場所に店を開いたのは30年前。以来、「お客さんが来て、店が閉ってたらあかん」と1日も休んだことがない。
姪の高玉順さん(44)と一緒に店を切り盛りしている。「いまだにお金の計算もしっかりしている」、と姪が舌を巻くほど記憶力がいい。
いろんな人と話すのが楽しいと、いつも店の入り口に座っている。通りすがりの顔見知りからも声がかかる。道を尋ねられることもしばしばだ。
面倒見がよく、明るくて元気。8人兄弟(3男5女)の3女に生まれ、今は妹が1人だけ健在。長男の孫娘を日本に呼んで結婚させ、3人のひ孫たちが店に遊びにくるのが今一番の楽しみだという。
「商売が人生のパートナー」と話すハルモニの口癖は「がんばってみる。負けたらあかん」。その人柄に、毎日途切れることなく訪ねてくる友だちに、「元気やで!」と生き生きとした声が今日も店に響きわたる。
(2003.9.24 民団新聞)