掲載日 : [2003-09-25] 照会数 : 5044
まだまだ現役ハラボジ・ハルモニ 丁点順さん(03.9.24)
甑山道神戸道場の宗道師丁点順さん(80)
朝晩の修業欠かさず…信者とともに週2回の祈祷
阪神大震災で大きな被害を受けた神戸市灘区の閑静な住宅街。表向きは普通の戸建て住宅のようだが、甑山道神戸道場の表札がかかる。
ここで毎週日曜と水曜に信者を集めて祈祷しているのが宗道師の称号を持つ丁点順さん。大阪や東京など日本にいる宗道師の中でも最年長だという。
甑山道は、キリスト教、仏教、儒教、道教が教える神は、呼び名は違うが全て同じだという教えを信じる宗教だ。
早くから父親が通訳として渡日しており、長崎で生まれた2世。帰国、再渡日、各地を転々とした。解放後の51年に神戸に洋裁店を開き、腰を落ち着けた。その当時、洋裁の技術を身に付けていたというから〞ハイカラ〟だった。
神戸の六甲山に連なる摩耶山は信仰の山。山岳信仰の寺に通ううち、本山の身延山に年2、3回通うように。再婚相手をガンで亡くした失意の中、死ぬ覚悟で身延山を訪れた。
「ガケから落ちれば死ねるかと思ってね」。死ぬ前にわが身の成り行きを考えながら滝にうたれていた時、天からの声が聞こえたのだという。信者は「師は霊感がある」という。
以来、天の声に従って、摩耶山の麓などで庵を結んで細々と信者とともに信仰を重ねた。震災の3年前の92年に道場を開いた。震災で全壊したものの、信者と一緒になって再建にこぎ着けた。
毎日4時半には道場の清水を取り替え、太乙呪(テウォルジュ)と呼ばれるお経を中心に2時間近く修行する。同じように夜の修行も欠かさない。
近所の散歩ばかりじゃなく、軽い登山もこなすから、自然と足腰を鍛えることにもなっている。
小柄な体がよく動く。規則正しい日課が長生きの秘訣に見えた。
(2003.9.24 民団新聞)