掲載日 : [2003-11-10] 照会数 : 4331
「石原妄言」に韓日人士が怒りの声(03.11.12)
石原妄言に韓日人士が抗議の声
石原都知事の、日韓併合に関して「武力で侵犯したんじゃない」と歴史的事実を歪曲した発言に対して、在日同胞や良識ある日本人士から、謝罪と撤回を求める抗議の声が相次いでいる。度重なる石原知事の妄言に対して、各界から批判の声が相次いでいる。
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子孫のためにも団結して抗議を
鄭早苗さん=大谷大学文学部教授=「決して武力で侵犯したんじゃない」ですって。この発言こそが、無知の骨頂といえるでしょう。75年9月の江華島事件から始まって、明成皇后刺殺事件、日清戦争、日露戦争等々という歴史を石原知事が学んだ形跡は発言から見出せない。ひょっとして彼は、日清戦争も日露戦争も朝鮮は関わりなかったと錯覚をしているのであろうか?
舐められっぱなしの政治家の発言に対してここらで大同団結してスクラムを組んで頑張りましょう。「うそも百回つけば真実になる」かも知れません。それでは、私たちの3、4、5世以下の子孫は将来も石原発言に言う「祖先の責任」を背負い続けなければなりません。ここで頑張ることが在日の先輩としての責任だと私は考えます。
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人権感覚の麻痺在日が歯止めを
朴一さん(47)=大阪市立大教授=こうした発言が出ると従来ならば一般の市民から警戒する声が出てきたのに、日本人拉致問題で逆風が吹くいまは〞妥当性がある〟とみんななんとなく納得してしまう。明らかに日本国民の人権感覚は麻痺、希薄化してきている。これが怖い。いわば石原さんは国民感情の一部を代弁しているともいえる。「在日」は危機感を持って抗議の声を上げていかなければならない。
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植民地支配の肯定許すまい
佐藤信行さん(55)=東京、在日韓国人問題研究所幹事=植民地を生きた人びとの声に少しでも耳を傾ければ、あなたの生活は「もっとも進んでいて、人間的だった」などとはまかり間違っても言えないだろう。
度重なる暴言は、新たに引き起こされる暴力を予期させ、まだ癒えぬ傷の痛みを呼び覚ます。それはまた、日本政府および日本人に〞反省しなくてもよいのだ〟と開き直らせ、真の和解への道を閉ざす。私たちは石原暴言を決して許してならない。
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歴史の事実をわい曲するな
禹判根さん(65)=民団福岡県本部副団長=地域の小中学校で韓日関係について講演しているが、韓日併合が武力で侵略したのは、小学生でも分かっていること。あきれてものが言えない。このような妄言を裁く法律はないものか。麻生太郎氏の「創氏改名妄言」の時も、小学校の子どもたちが「学校で習ったことと違う」と抗議していた。当然のことだ。石原知事は、第三国人発言以来、妄言を繰り返してきた。知事も物書きの端くれならば、きちんと調べてから発言してほしい。
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誤った歴史観ふりかざすな
藤原史朗さん(59)=全外報代表=「北鮮」発言から始まり、「三国人」、そして今回の暴言へと続く。教育の現場で「在日」や日本人の子どもに関わっている者として、「在日」を侮辱し、歴史を曲げられるのは断じて許すことができない。
今も差別に苦しむ「在日」に対して勝手に日本に来たとか、韓国が自ら望んで併合されたとか、一般の人間に思わせるような歴史の歪曲が、一介の都知事の権限でできるのか。侵略戦争が日常化したものが、民族差別だが、度重なる暴言の根底には、誤った史観がある。「全外教」としても様々な形で抗議していく。
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歴史の忘却は悲劇繰り返す
金秀一さん(42)=かながわ民闘連共同代表=石原都知事の主張は明らかに歴史をわい曲しようとする暴言である。このことで何人の善良な市民がこの暴言をうのみにし、何人の当事者が心を痛めるのか。しかし、問題なのはこのことがさほど問題にならないことである。かの「第三国人」発言で人種差別撤廃委員会は日本政府に懸念・提言を示している。しかし、以前も今回のことでも、本人および日本政府のリアクションはない。
歴史の忘却は繰り返す暴力の悲劇をまた引き起こす。すべての者が歴史の被害者の声に向き合うべきだ。そのことにより真の和解も生まれるはずだ。ならば、今、NOと叫ぶべきであろう。
(2003.11.12 民団新聞)