掲載日 : [2003-12-03] 照会数 : 3729
支援の輪広がる 脱北同胞支援「民団センター」(03.12.03)
募金900万円を突破
民団、韓商など続々…各地で慈善ゴルフも
北韓から脱出し、命からがら日本にたどり着いた元在日同胞を援助するため設立された「脱北者支援民団センター」(代表、呂健二民団中央本部副団長)の呼びかけてきた募金がこのほど、総額で900万円(12月1日現在)を突破した。センターでは、支援の輪が広がる状況の中で、脱北者への支援を強化したいという。
同センター事務局の集計によれば、全国各地の民団本・支部と傘下団体から423万3382円、平和統一諮問委員からの個人的な協力金が276万2940円、在日韓国商工会議所から110万円、このほか民団関係以外からも122万9130円が寄せられている。合計金額は932万5452円となっている。
在日韓国商工会議所では執行部会議での正式決定を受けて、渉外事業委員会(金一雄委員長)が8月から本格的な取り組みを始めた。まず「在日脱北者支援・韓商基金」を設立して募金を呼びかける一方、支援事業の一環として「天然ザクロエキス」の販売活動も展開している。
この「天然ザクロエキス」は老化防止や更年期障害に効能があるといわれる輸入健康食品。金委員長が中心となり、すでに320ケース(3840本)を販売した。この販売収益は全額、「韓商基金」に回している。
金委員長は「日本で苦労したうえに北でも苦労し、どうにか日本にたどり着いた同胞のために少しでも安定した良い暮らしをという純粋な気持ちから応援したいと思った」と話している。
また、金委員長の地元である栃木韓国商工会議所が、9月に初めて実施した脱北者支援のためのチャリティーゴルフは、10月以降に在日大韓蹴球団、神奈川韓国青年商工会、民団東京本部、民団千葉・市川支部などに着実に広がっている。
元在日同胞の脱北者は、「地上の楽園」と事実無根の宣伝で10万人近い在日同胞を北韓に送った、いわゆる「帰国事業」で北韓に渡った人たち。その多くが抑圧と差別の中で生活し、強制収容所などで死亡した同胞も少なくない。北韓を脱出し、中国や東南アジア経由で日本に戻ってきた同胞は、現在約50人余りだが、少しずつ増加傾向にある。日本では無国籍者の扱いを受けているため就業と住宅の確保が難しく、日本語の会話や日常生活への適応でも多くのハンデを背負いっているのが現状。
同センターは6月の設立以来、こうした元在日同胞脱北者のために就職先と住居を提供し、日本語学校や韓国語の話せる医師を斡旋、定期的な交流会も継続的に行ってきている。
(2003.12.03 民団新聞)