掲載日 : [2003-12-10] 照会数 : 4669
「TBS誤報」に便乗した石原都知事の「情報操作」(03.12.10)
東京、大阪をはじめ各地の民団は石原慎太郎東京都知事の歴史わい曲「韓国併合正当化」妄言(10月28日)を批判、抗議活動を展開している。 だが、石原都知事は、いまだ謝罪するどころか、民団などの抗議が、あたかも「TBSの誤報」に基づくものであるかのように再三主張、意図的(思い込みによるものでなければ)に論点をすり替えようとしている。
都知事は、11月11日の記者会見で、11月2日のTBS系情報番組「サンデーモーニング」が発言内容を誤って放送した問題で「意図的に映像、音声を編集し、発言内容と異なるテロップをかぶせることで事実を強引にねじまげた」と批判。「公職にある人間に対する犯罪的ともいえる挑戦」「(韓国)民団、(朝鮮)総連にも迷惑をかけ、国際問題にも発展しかねない」とし、名誉毀損にもあたると主張した(11月12日付け「産経新聞」)。
さらに都知事は、12月1日の「産経新聞」定期コラム「日本よ/メディアの狂気」でも、「これ(TBSの誤報)によって都庁に非難の電話も数多くかかってき、こと知らされた在日の民団や朝鮮総連は抗議の声明と私の辞任を要求してきたものだった」と、まったく事実に反する主張を繰り返している。
民団の抗議声明は10月29日に出されており、同日に青年会中央本部の抗議団が、翌30日には民団東京本部と同婦人会代表らからなる抗議団がそれぞれ都庁を訪れ、応対した知事秘書(日浦憲造副参事)に抗議文を手渡し、「妄言」の即時撤回と謝罪などを促しているからだ。問題の「サンデーモーニング」は、民団の第1次抗議行動から3日後の日曜日のことだった。
しかも都知事は「TBSの誤報」が問題なのであって、自身の「韓国併合関連発言」はまったくなんら問題になるようなものでないかのようにふるまっている。
民団はじめ在日同胞の抗議は、都知事がクローズアップしようとしている発言部分に基づくものではなかった。「韓国併合関連発言」に多くの事実誤認や歴史わい曲など問題があったためだ。
それにもかかわらず、そのことについて、都知事はなぜか終始言及を避けている。フェアではない。「公職にある人間」として、もっと誠実に対応してしかるべきだろう。思い込みが強く、他者への配慮が欠けるためなのか。それよりも「韓国併合関連発言」を「百パーセント正当化するつもり」なので無視しているのだろうか。
別掲「朝鮮史研究会」の「石原都知事の韓国併合正当化発言を批判する声明」でも指摘しているように、都知事の発言は多くの部分で誤った事実認識に基づくものだった。事実誤認について改めるのに躊躇すべきでなかろう。
民団などの抗議を「TBSの誤報」に踊らされたもので、自分にはまったく責任はなく、まともに対応する必要がない、といわんばかりの発言や主張についても、速やかに訂正すべきである。
(編集委員・朴容正)
(2003.12.10 民団新聞)