掲載日 : [2004-01-21] 照会数 : 5916
河川敷清掃続け12年 金日根さんを石川県が表彰(04.1.21)
[ 旧大聖寺川河川敷の草刈りに汗を流す金さん ]
石川県と加賀市が〞美化功労者〟表彰
「川愛護推進委」誕生のきっかけに
【石川】10年以上にわたって河川敷の清掃を続けてきた在日1世の金日根さん(74)=加賀市在住=がこのほど、石川県の地域環境美化活動功労者と、加賀市の環境美化推進運動功労者のダブル受賞を果たした。長年にわたるボランティア美化活動が評価されたものだ。
年間延べ60日汗流す
金さんの自宅は、加賀温泉駅の一つ隣の、観光地でもある大聖寺近く。家の前には旧大聖寺川に沿って桜並木の遊歩道が整備されている。
今でこそ川沿いの遊歩道は鋪装されて、散歩道として整備されているが、10年ほど前は未舗装の上、河川敷は草がぼうぼうだったという。河川敷は県有地で、昔は県が清掃しており、現在は市が担当している。しかし、雑草の伸びは早く、年に1度の清掃では焼け石に水の状態だった。
土木業を営んでいた金さんは、家業を長男にまかせるようになった12年ほど前から、河川敷の清掃などの整備を始めた。遊歩道や河川敷の雑草を刈り、花を植えたりと、せめて家の前だけでもきれいにしたいと始めたボランティアだったが、雑草を刈り進むうちに、清掃の範囲はどんどん広がっていったという。夫人の李京子さん(婦人会石川県本部会長)も「やり出したら、とまらない性格だから」という。
2時間ほど電動の草刈り機を使うと手は痺れ、夏場は汗だくになりながら、年間延べ60日ほどをかけて家の前から左右600㍍におよぶ清掃を一人で続けてきた。その間、得にもならないことをやって何になるのか、と言わんばかりに揶揄されたこともあるという。
清掃活動が気まぐれではなく、4年、5年と続く姿を見続けてきた周囲の人たちも、金さんの意気にこたえて一人、二人と手伝うようになった。今では地域の環境は自分たちで守ろうと、各町から担当者を出し合って約30人ほどで構成される「ふるさとの川愛護推進委員会」が作られ、年に4回、旧大聖寺川の清掃に汗を流している。
だけでなく、毎年七月には全員で新川と呼ばれる大聖寺川の放水路の河川敷に出向き、清掃活動を行っている。
このような自主的な環境整備が呼び水となって、川沿いに桜の並木が植えられ、未舗装の遊歩道が鋪装されるなど行政の支援も受けられるようになった。
たった一人の地道な清掃活動にかける思いが地域の人を動かし、地域の美化活動を組織化した功績が認められ、石川県と加賀市の環境美化功労者として表彰された。
金さんは、清掃を続ける中で「『とうちゃんがおって良かった』と言われることが一番嬉しい」と顔をほころばせながら「健康が続く限り続けたい」と意気込んでいる。
(2004.1.21 民団新聞)