掲載日 : [2004-02-25] 照会数 : 3394
京都・同胞高齢者福祉へ本腰 実現へ計画着々(04.2.25)
[ 民団京都高齢者福祉研集会 ]
2年後めどに施設づくり
認識深化へ講演会やアンケート
【京都】在日同胞高齢者のための福祉事業に乗り出す構想を表明している民団京都府本部(金有作団長)は、実現に向けて計画を進めている。福祉問題に関しての各支部関係者へのアンケート調査を実施すると同時に、22日には福祉事業に関する研修会を開き、意志統一を図っている。
民団京都府本部は昨年から在日同胞高齢者福祉事業に取り組む構想を明らかにしてきた。府内在住のすべての在日同胞高齢者が民団社会から何らかの福祉サービスを受けられる施設づくりを目指そうという趣旨を掲げている。
同本部では、今後2年をめどにNPO法人を設立、介護保険事業などの福祉事業に乗り出す準備をしている。各支部会館にはデイサービスセンターの拠点としての役割を期待している。京都府内の在日同胞は約3万8000人。うち1世は3000人以上と推定されている。
これらの計画を実践する一環として、22日には支部役員と婦人会、青年会幹部らを対象にした「福祉事業に関する研修会」を、京都市国際交流会館で開いた。
講師の神戸定住外国人支援センターの金宣吉理事長は、日本の社会保障制度から一貫して排除されてきた在日同胞高齢者を「支える仕組み」を作ろうと呼びかけ、民族団体がその役割を担うべきだと強調した。
続いて同本部福祉事業推進委員会の金周萬委員長が、高齢者福祉事業の第1歩としてまず民団支部に「生活相談窓口」を設けようと提案した。この窓口では同胞高齢者が介護保険を申請するにあたって必要な手続きの代行をしていくことが期待されている。
一方、民団支部会館を利用した在日同胞高齢者向けた福祉サービス実現のために支部役員を対象にしたアンケートも実施した。この結果、約8割が必要性を感じていた半面、実現にあたって人材確保やノウハウなどで課題を抱えていることが明らかになった。
アンケートは福祉事業推進委員会(金周萬委員長)が管内15支部を対象に1月から2月にかけて調査したもので、回答者は105人。
同本部では様々な手法を駆使してノウハウを積み上げ、高齢者福祉に生かしていきたい考えだ。
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<アンケート結果>
8割超が「必要」…ノウハウ不足に不安感も
支部を利用した高齢者サービスの必要性について、「しなければならない」は32・4%、「できればしたほうがいい」の54・3%と合わせて86・7%が肯定した。「必要ない」は5・7%、「わからない」が7・6%。
ただし、実現性については、「努力すればできる」の推進派と「したいが無理だと思う」の消極派がそれぞれ42・9%、41・9%とほぼ拮抗した。
消極派が挙げた最大の問題点は「世話役の育成」をどうするか。このほかサービスプログラムの準備などノウハウ面などでも不安を抱えており、実現にあたっては民団京都府本部の具体的な支援を期待している。
(2004.2.25 民団新聞)