掲載日 : [2004-03-31] 照会数 : 4159
語り継ぐ加害の歴史 関東大震災朝鮮人虐殺(04.3.31)
[ 「江戸川NGO大学」主催の講演会で証言する八木ヶ谷さん(手前)
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元小学校教員が目撃証言…NGO主催の学習会で
関東大震災勃発の直後、千葉県八千代市で朝鮮人虐殺の現場に居合わせた元小学校教員、八木ヶ谷妙子さん(90)が18日、江戸川区内で開かれた市民団体主催の講演会で当時の目撃談を語った。震災から80年余り経ったいまも目撃者の証言は生々しく、参加者に衝撃を与えていた。
証言によれば、朝鮮人虐殺の現場に遭遇したのは23年9月のある朝のこと。当時、小学校4年生だった八木ヶ谷さんは集落に異変を知らせる火の見櫓の鐘を聞き、広場に足を運んだ。そこで目隠しをされた30歳代とおぼしきメリヤス姿の朝鮮人青年が首をうなだれ、松の木に縛られているのを見た。
焼け出されて東京から非難してきたとされる浴衣姿の大人3人が、〞こいつが自分たちをひどい目に遭わせた〟と口汚くののしっていたという。当時、関東大震災の混乱に乗じて朝鮮人が放火、投毒、暴行の限りを尽くしたという流言が信じられていたときだった。
間もなく青年は共同墓地に引き立てられていった。惨殺現場にはすでに埋葬のための穴が掘られていた。
怖くなった八木ヶ谷さんはすぐ共同墓地を離れ家に戻ったので、直接の惨劇場面までは目撃していない。後になって青年が「アイゴー」と泣きながら死んでいったと住民から聞かされた。
八木ヶ谷さんは講演の中で「こんな苦しい生活をして日本に定着された『在日』2・3世の人たちには特別な親しみを感じます。親愛なる隣人として、この人たちと交流を深めていくことが犠牲者への鎮魂になります」と語った。
この日の講演会は「江戸川NGO大学」が主催したシリーズ「歴史に学びいまを考える」の第1回。4月22日には韓国から強制連行され、北海道の炭鉱で働かされた当事者から証言を聞くことにしている。
(2004.3.31 民団新聞)