掲載日 : [2004-03-31] 照会数 : 4273
〞違い〟知り交流深めたい 「異文化たのしむ会」(04.3.31)
[ 舞台と客席の壁をとり払った全員参加型の新しい試み「クッノリ」 ]
〞相互理解〟へ4年目…料理や映画素材に学習会
東京・調布市を拠点として、在日同胞と日本人とが集まって韓日交流を深めようと活動している「異文化を愉(たの)しむ会」―。
韓国料理教室や学習会、映画鑑賞会などの活動を通じて、異文化を敬遠するのではなく触れ合いながら楽しんでしまおうという新たな提案をしている。24日には調布市文化会館「たづくりむらさきホール」で、韓国の伝統芸能を基にした観客参加型の創作舞台「クッノリ」の公演を行い、200人ほどの観客の目を楽しませた。
同会は01年2月、在日同胞2世の呉文子さんが発起人となり、在日と地域の日本市民あわせて22人によって調布市で結成された。
現在は代表を在日2世の張金順さん、事務局を在日3世の舞踏家、林麻里さんが務めている。活動は今年で4年目を迎えており、会員は現在40人にまで増えた。
会を作るきっかけは、発起人の呉さんの母親が、病院に入院した際に文化の違いに苦しんだことから。日本語で書かれた薬の飲み方が分からなかったり、同室の患者に遠慮してキムチを食べることができず、食が進まなかったりもした。
母親の苦労を目にした呉さんは、「文化の違いに接した時にそれを拒絶したり差別するのではなく、お互いがその違いを愉しめるようになれれば」と思い、会を立ち上げたという。
まずは韓国に興味を持ってもらうために、韓国に触れてもらうことから始めようと、韓国料理教室、調布市国際交流協会から講師を招いての学習会、韓国映画の観賞会などの活動を地道に続けてきた。今回の「クッノリ」公演も多岐に渡る活動の内の一つだ。
「クッノリ」の「クッ」とはムーダン(巫女)が神様への祈願をする際の踊りのことで、「ノリ」は韓国語で「遊び」の意味。今回の「クッノリ」は婚礼クッで、婚礼の当日に亡くなった新郎の霊
をなぐさめるというストーリー。
観客参加型の創作舞台とあって、演者が観客に話しかけたり、観客が舞台の中心に連れていかれたりと、舞台と観客席の区切りがなく演者と観客が一体となって作り上げるスタイルは、まさに異文化と触れ合う絶好の機会を提供した。
発起人である呉さんは「触れ合わなければ何も始まらない。今回の公演で、韓国を知らない人にも少しは韓国を知ってもらえたと思う」と語った。
「クッノリ」の公演以降も、4月10日の「日韓芸能交流会」の鑑賞会を始めとして、同会ではひと月に一回のペースで活動を予定している。
「クッノリ」の主演を務めた事務局の林さんは「これからも様々な活動を通じて日本の中で異文化交流をしていきたい」と話した。
同会は、今回の公演に際し調布市長から祝辞を受けるなど、着実に周囲の評価と支援を得ている。異文化を楽しんでしまうという会の姿勢は、韓日の新たな接し方を草の根レベルで着実に広げているようだ。
「異文化を愉しむ会」の連絡先は、事務局の林麻里さんまで。(電話・090―8510―4772)
(2004.3.31 民団新聞)