掲載日 : [2004-05-12] 照会数 : 6970
母国夏季学校の魅力を探る(04.5.12)
祖国でまなび〞民族〟に自信
同世代の絆はぐくむ
母国修学の大きな契機に
民団は、日本国内の中学、高校に在学中の在日同胞を対象に、夏休み期間を利用して本国を実体験してもらう母国夏季学校の参加者を募集している。母国夏季学校は、韓国の教育人的資源部が主催し民団が重視している事業のひとつ。昨年度の参加者の声からその魅力を探ってみた。
母国夏季学校では、期間中は簡単なあいさつ等の韓国語、韓国の歴史、伝統音楽などの韓国人に必要な一般教養学習が行われる。この学習には、「韓国語が少し分かるようになってよかった」(金佑樹・埼玉県・15歳)といった参加者の声が上がっている。
また「博物館に行ったりして、歴史について日本では学べないことを学ぶことができた」であるとか「いろいろな所へ行けて楽しかった。歴史を知って勉強になり、自分にプラスになった」(金里沙・広島県・16歳)などと評判なのが、景福宮、民俗村など歴史風俗の見学と、日本の歴史教科書では深く学ぶことができない日帝植民地時代と独立への闘争を紹介する独立記念館訪問、祖国の南北分断の現実を知るための最前線視察だ。
母国夏季学校は、こうして生の韓国に触れることができると同時に、同胞との交流が少ない3世、4世たちが、多くの共通点を持った同世代の同胞の友人を作ることができるため、参加者からは「友達が15人くらいできた」(康未来・千葉県・13歳)「相部屋だったので深い交流ができて友達が5、6人でき、社交的な人間になれた」「同胞の友達がたくさんできたので、学校などで日本人の友達に自分が在日韓国人であることを堂々と言えるようになった」などと喜ばれている。特に同胞の過疎地区に住み、日本社会の中で同胞との絆を体感できない者にとっては大きな励みとなっている。
また、日本社会に埋もれて生活しているとなかなか生まれにくい民族意識も、合宿を通して芽生えてくる。「(在日韓国人であることに)自信を持つようになった」(金富烈・東京都・17歳)、「自分は日本人なのか韓国人なのかと悩んでいたが、多くの共通点を持った同胞の友達ができたことで自分は在日韓国人だと感じるようになった」などという参加者も多い。
母国夏季学校を通じて韓国に触れ、韓国人としてのアイデンティティが育ち、韓国での生活を望むようになる者もいる。「以前は、ずっと日本で育っていくのだと思っていたが、今は韓国に留学したいと思っている。最近は韓国ドラマなどを題材に独学で勉強している」(朴正美・京都府・18歳)と、近い将来に母国修学の計画を立てる契機になった青年もいる。
こうして参加者の声を聞いてみると、母国夏季学校の魅力は「在日同胞の友達ができる」「勉強になる」「民族意識を持てる」の3点に凝縮されていることが分かる。
また母国夏季学校はこの3点に関しては間違いなく提供してくれるため、参加者だけでなく、特に子弟を送り出す父母に好評で、これまで37年も続いてきたといえる。
(2004.5.12 民団新聞)