掲載日 : [2002-10-30] 照会数 : 3916
「人質のかたちで子供が向こうに残っている状態では、向こうでの生活・仕事の核心や本心を話せるわけはなく、(永住帰国の)意思表示も無理だろう」。北韓から一時帰国中の拉致被害者5人の心中を思いやる日本主要紙の共通した推測報道である。
「日朝首脳会談」(9月17日)後初めて在日同胞の乗客約180人を乗せた北韓の不定期貨客船「万景峰92号」が10月21日、元山から新潟に入港したが、次のような新聞記事が気になった。
拉致事件に関する日本人記者の質問に、「…(下船した)東京都に住む女性(60)は『日本の報道は過剰すぎる。国交正常化という大きな問題を解決すれば、拉致問題のような小さな問題は解決できる』と語気を荒らげていた」
これを読んで、腹を立てている日本人読者が少なくないのではないか。筆者は「まだこんなことを言っているのか。(これは)まずいなー」と思った。
だが、この女性の年齢から、「地上の楽園」と喧伝され「北送船」で北韓に渡った親兄弟(親類)らと再会しての帰りだったのではないかと推測、思い直してみた。
朝鮮総連系の在日同胞も、「北韓帰還」家族・親類を「人質」にとられているのだ。北韓に身近な人を残していれば、まだ、金正日政権について「公開の場」で本心はなかなかいえないのだ…と。
(Y)
(2002.10.30 民団新聞)