掲載日 : [2002-12-04] 照会数 : 4296
MINDAN・FESTIVALが終わった。写真展では、ニュージーランド国立図書館の提供を受けた、山口県・仙崎港から今まさに引き揚げようとする在日の本邦初公開写真と、年に一度撮るかどうかであったろう、貴重な家族写真に釘付けになったという声が多く寄せられた。
映画祭では日本映画に描かれた「在日」をテーマに、年代を追って5本が上映された。物語上ではあるが、ある作品では金日成を称える歌が流れ、民団の建物内であり得るはずのないことが起こったとのトーク・ゲストの指摘に、決して非難ではない自然な笑いが起こったりして楽しめた。
1世の歴史や生活を、2世が3・4世に伝えようとした、「語り継ごう『在日』を!」という主題を鑑みた時、その「在日」の若者の姿がまばらで寂しい限りではあった。が、初の試みとしては、おおむね成功したと言って良いだろう。
今後は展示した70点のパネルに、各地方独自の写真を加えた巡回写真展もやれるし、同テーマで上映できる作品が、今回とは別にもう5本は存在するので、第2回映画祭も可能だ。
この間、企画運営に苦心した胸中に、李政美さんの歌が流れ、小さくない後押しを感じた。
「顔も知らないハルモニ・ハラボジ、いくつものアリラン峠(エヘイヨ)越えて、辿り着いたこの町…」。
今度、京成線に乗ってみよう。「この町もまたふるさと」だと確かめる為に。(S)
(2002.12.04 民団新聞)