掲載日 : [2002-12-11] 照会数 : 3176
日本人教師と連携「子ども会」10年(02.12.11)
[ 紙工作で亀甲船をつくる「ケグリの会」メンバー ]
大阪・池田「ケグリの会」
同胞保護者が本名問題を共通課題に
市外教発足の契機にも
【大阪】大阪・池田市内の公立小学校で毎月1回、地域同胞保護者会の主催する在日同胞子弟のための集まり「ケグリの会」が開かれている。子どもたちの民族的自覚を育てたいという保護者の熱意とこれを陰で応援する日本人教員との連携が「ケグリの会」を支えてきた。保護者会が子ども会に取り組んでから今年で10年を迎えた。
「ケグリの会」は神田(こうだ)小学校教室を借りて行っている。池田市内の公立小学校に通う在日同胞児童10数人が通う。8日は民族講師の姜孝裕さんの指導を受けながら紙工作で亀甲船作りに挑戦した。
池田市は大阪府内では在日同胞子弟の少数在籍地域。子どもを本名で小学校に通わせている家庭はまだまだ少なかったとき、市内の公立小学校に入学した時点で「本名宣言」をした長男を持つ皇甫康子さんは、同じく本名で子どもを学校に通わせる2人の親と出会って3世帯で保護者の集まりをつくった。これが現在の「ケグリの会」につながる。
3世帯の親と子が集まり、皇甫さんは子どもたちにチャンゴを教えた。子どもたちの会は「ケグリの会」と名付けられ、参加する子どもたちも少しずつ増えていった。93年8月には民族衣装を着て市民カーニバルに繰り出し、95年には府外教豊能大会でも練習の成果を披露するまでになった。
そのような活動を続けていくうちに、保護者ばかりか子どもたちもチャンゴだけでなく韓国の言葉や文化などを幅広く学びたいと願うようになった。民族講師に来てもらいたいとの願いが5年前、民族講師の姜さんの気持ちを動かした。姜さんのスケジュールの関係で神田小学校で指導にあたれるのは月1回だけだが、保護者は子ども会の活動が充実するようになったと喜んでいる。
子どもたちの送迎とおやつの世話は保護者会、民族講師への謝礼を含め諸々の運営資金は池田市教職員組合からの助成でまかなっている。これは保護者がこの間、日本人教師たちと在日韓国人子弟の民族教育、本名問題などについて話し合いを重ねてきた成果でもある。
在日韓国人教育への日本人教師の理解がさらに深まり、池田市にも外国人教育研究協議会が発足した。さらに、市外教で同胞子どもたちを中心とする集まり「オリニモイム」を主催するようになってからは、保護者としても企画の段階から参加している。
「ケグリの会」としての今後の課題について現会長の李英子さん(46)は、市教委の認知を受けて専用の活動場所を確保し、専任の民族講師の招聘費用も負担してもらうことだという。
(2002.12.11 民団新聞)