掲載日 : [2002-12-11] 照会数 : 3884
キムチ激戦区の日本市場 消費急増でシェア争い(02.12.11)
[ 会社帰りにキムチを買いに来たサラリーマン(第一物産で) ]
在日業者・質と味で十分勝算
欠かさぬ努力・販路開拓も
日本がキムチの激戦市場になりつつある。日本の国内キムチ市場は、日本業者製、韓国からの輸入キムチ、在日同胞の個人・企業製造分の3つで占められていた。しかし近年、低価格の中国産が市場に流通し始めるなど日本市場のシェア争いは予断を許さない。
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安い中国産参入
食品需給研究センター調べによる日本のキムチ生産量は、99年に24万9292㌧、00年に32万48㌧、01年には35万1100㌧と増加の一途を続けている。日本の漬物全体の生産量から見れば、ショウガやラッキョ、白菜などの醤油漬けがトップだが、単品で見ればキムチの生産量が最も多い。
一方、韓国からの輸入はここ数年、ほぼ横ばい状態にある。韓国農水産物流通公社調べによる韓国産キムチの対日輸出量は、99年2万3816㌧、00年2万2261㌧、01年には2万2200㌧と変動はない。
日本のキムチ生産量の中には、在日同胞の中小規模の業者の製造分は含まれていない。この分野の製造量は所轄官庁もないために統計がない。しかし、長年の営業によって相当数の生産があると見られている。
これまでは同胞業者、日本の製造業者、そして輸入業者によって形成されてきた市場に参入してきたのが、安価な中国産キムチだ。同流通公社のキムチ流通調査報告書によると現在、中国産キムチ取扱会社は4社。販路は少ないが低価格で今後、どこまで売り上げを伸ばしていくか全く予想がつかない。
この中国産キムチは、大手スーパーを中心に販売されており、内容量400㌘に対する価格設定基準では、韓国産と日本産の平均価格398円と比較して、中国産は298円と安価だ。人件費や食材の安い中国で生産しているため、輸入のコストを差し引いても低価格で消費者に提供できるものとみられる。
しかし、長年この市場を切り開いてきたと自負する在日同胞の業者は、低価格の中国産に負けないように、様々な手法で販路拡大を図っている。
〞安さ〟路線と反対に、高い品質で勝負しているのが輸入キムチ取扱・販売を行っているオフィス東京の金永悦代表だ。全17種を取り扱う。
韓国の工場では白菜とチョンガキムチを生産、材料や季節などによって味が異なるため毎週、韓国料理研究家の崔誠恩さんが気温などにあわせたレシピを送って製造している。韓国から届くキムチの味のチェックは欠かせないという。またカクテギやキュウリなどのキムチは韓国から食材を調達して日本で漬け込んでいる。金代表は中国産キムチについて「日本の市場に低価格で入っても品質のいいものを売れば上にいける。在日業者も低価格ということに流されず、クオリティーを高め伝統を守っていくことが大切」だと話す。
また、東京・上野で韓国食品製造・販売を行っている第一物産の姜恩順代表も本物の味にこだわり続ける一人だ。厳選した食材で製造するキムチは20種になる。
「日本も味噌や醤油などこだわりを持っている食文化がある。熟成したキムチは芸術品」だと強調する。安価なキムチに負けないように、韓国各地のキムチを製造販売していく計画だ。
すでに長年の蓄積で固定客はつかんでいるが、企業努力を重ねて業績を伸ばそうとしている。今後は同胞業者が日本の人にキムチを用いた料理のレシピ紹介や伝統などを伝えていきながら、韓国キムチのブランドを確立していくことが大事だと話す。
いずれにしても4者4様の動きの中で、日本のキムチ市場はますます拡大しそうだ。
(2002.12.11 民団新聞)