掲載日 : [2003-01-15] 照会数 : 4844
ウリ民画研究会 1/28に初の展示会(03.01.15)
[ 真剣な眼差しで制作するオモニ ]
庶民の息吹き再現…豊かな図柄に魅力
東京韓国学校・教師と父母で発足
朝鮮朝時代に庶民生活の中で親しまれた民画。種類は50以上あるといわれ、最近韓国でも民画に対する関心が高まっているという。その民画を自分たちで描こうと東京韓国学校初等部の教師と在校生の父母たちによって2001年9月に発足された「ウリ民画研究会」。今月28日から開かれる初の展示会に向けて、精力的に民画の制作に取り組んでいる。
掛け軸から8双の屏風まで
「ウリ民画研究会」のメンバーは現在7人のオモニ。毎週金曜日に東京韓国学校初等部の美術室に集まり、教師の安善喜さん(43)から絵の指導を受けながら熱心に民画の制作に取り組んでいる。
同研究会発足のきっかけは、2001年5月に東京都庁で開催された「外国人学校合同美術展」で、安さんが指導した生徒による朝鮮通信使を描いた民画作品にオモニたちが関心を寄せたことから。自分たちにも民画を教えて欲しいという声があがり、学校での父母の活動の一環として立ち上げられた。
最初、見よう見真似で始めたオモニたちも、今では各自が研究を重ねながら自分の個性を表現できるまでに上達しているという。
民画に用いられる画材は韓紙、墨、筆、絵具とにかわだ。鉛筆で下書きした韓紙を水でしめらせ、次ににかわと5種類以上の絵具を混ぜ合わせ、筆で韓紙全体に下地の色を染めていく。乾燥すると下書きした鉛筆が浮き出て、そこへ色をかけていく。
今ではオモニ全員がこの工程を1人でこなす。題材は安さんが韓国の教育大学校美術教育学専攻で民画を学んだ時に制作した作品や資料を利用しているという。
民画の一つひとつには福、長寿、邪気払い、多産などの意味があるという。
例えば夫婦の愛情や信頼を意味するのは石と牡丹の花で表される。また、合格祈願では水の中から鯉が飛び上がる姿が表現され、「孝」の文字と魚と竹の絵をあわせた文字図は親孝行を意味するという。
安さんは絵の指導とともに、朝鮮朝の庶民の思いを知って欲しいとこれらの説明も欠かさない。
発足メンバーの朴平元さん(36)は、「今では日本人の友人に作品をプレゼントして喜ばれている」という。
南銀姫さん(36)は3歳の娘、柳智賢ちゃんを連れての参加。民画制作について「はじめたら時間が経つのを忘れる。家でも家族が寝た後に遅くまで描いて楽しんでいる」と嬉しそうに話す。
日本人の渡辺登美子さん(42)は当初、民画は繊細で自分に描けるかという心配もあったが、描き終えた時の達成感と喜びが次の活力になると目を輝かせながら話す。
安さんは「民画を通じて、韓国の精神文化や韓国人の魂を忘れないでほしい」という思いを込めている。
これまで掛け軸や8双の屏風の大作などを手がけてきた。今月28日から来月1日まで、韓国文化院で同研究会初の展示会「愛と幸福の民画展」が開かれる。
展示会は10時から17時半(31日16時半、最終日15時まで)。オープニングレセプションは初日18時から。
(2003.01.15 民団新聞)