掲載日 : [2003-01-15] 照会数 : 3180
近隣国に無用の摩擦を引き起こした
小泉首相が14日、靖国神社を参拝したことに対し民団では15日、金宰淑中央団長名で「一国の指導者として思慮に欠けたあるまじき行為」とし強い遺憾を表明する談話を発表した。
◆小泉首相の「靖国神社公式参拝」に対する談話文
小泉首相は14日、またも「靖国神社公式参拝」を強行しました。3度目となる今回の公式参拝に対して、私たち在日韓国人はあらためて首相の見識や国際感覚に異議を申し立てるとともに、強い遺憾の意を表明するものです。
2年前、小泉首相が初の公式参拝を強行した折り、韓国や中国をはじめとした近隣諸国から強い批判を浴びたことは、今も記憶に新しいものです。特に、史上初めて韓国とサッカーワールドカップを共催する前年の参拝は、いわゆる「教科書問題」と相まって韓国の国民感情を傷つけ、様々な韓日交流が中止、延期に追い込まれる事態となりました。
周知の通り、靖国神社には第2次世界大戦のA級戦犯が合祀されており、首相の公式参拝は近隣諸国に過去の悪夢と痛みを蘇らせるものです。近年、歴代首相が公式参拝を見合わせていたのも、近隣諸国に当然払うべき配慮であり、政治的決断の表れでした。
現在、東アジアは平和を脅かす北韓の一連の核問題で緊張が激化しています。韓・米・日3国は中国とも共同歩調を合わせ、核問題の平和的解決を図らなくてはならない状況にあります。そのさなかに、日本の首相が近隣諸国に無用の摩擦を引き起こした事実は、一国の指導者として思慮に欠けたあるまじき行為だと指弾されても弁明の余地がありません。
「戦争の世紀」と言われる20世紀に、私たち在日韓国人は日本の過酷な植民地支配の結果として日本居住を余儀なくされ、国家によって基本的人権が翻弄されてきました。その軍国主義の象徴がまさに靖国神社であり、首相の公式参拝は過去の戦争責任をあいまいにするものでしかありません。
小泉首相は内外の批判の声を無視して強行した行為を反省し、首相として公式参拝の愚を繰り返さないよう強く求めるものです。
2003年1月15日
在日本大韓民国民団中央本部
団長 金宰淑(キム・ジェスク)