掲載日 : [2003-01-29] 照会数 : 4799
朝鮮朝の石灯籠「長明燈」が祖国に返還(03.1.29)
[ 韓国伝統文化学校に設置された「長明燈」と山田さん(右)円内は武井さん ]
横浜の篤志家、武井康宸氏…文化財庁から感謝牌
日本の植民地統治時代に韓国から持ち出されたとみられる400年前の貴重な文化財が、横浜市内に住む日本人篤志家の好意で韓国政府に返還されていたことがこのほど分かった。
この文化財は「長明燈」と呼ばれる朝鮮朝時代の石灯籠。鎌倉市内で高級日本料理店「恵亭」を経営するオーナーが所蔵していたものだが、詳しい入手経路は明らかになっていない。かつて同料理店をよく利用していたという会社役員、山田宣光さん(58)は、オーナーから「李王朝時代の貴重な灯籠。今買えば2億円の価値がある」との話を聞いていたという。
10年前にオーナーが死去。やがて店もバブル崩壊の影響で経営難に陥り、銀行管理下に置かれるようになった。これを知った山田さんは、韓国の貴重な文化財がブローカーの手に渡って売買の対象となるのだけは避けたかったという。
このため、仕事上の取引を通じて日ごろ懇意にしていた横浜市内の宅地建物取引業者、武井康宸さん(67)に店の権利一切の購入を持ちかけた。武井さんは99年8月、銀行側から建物・土地など資産一切を5億円余りで買い取った。その後、山田さんから石灯籠についていきさつを聞いた武井さんは、「本物なら生まれたところに返すのがあたりまえ」と、昨年夏から駐横浜総領事館を通して韓国政府に返還を申し入れていた。
石灯籠は専門家の鑑定の結果、本物とわかり、現在は扶余にある国立大学、韓国伝統文化学校(金秉模総長)のキャンパス内に置かれている。
韓国文化財廳は24日、駐横浜総領事館(鄭貞儉総領事)を通じて武井さんに感謝牌を贈った。鄭総領事は「民間人が自主的に返還してくれたことを高く評価したい」と述べた。
(2003.01.29 民団新聞)