掲載日 : [2007-05-30] 照会数 : 8789
韓・前総理に聞く 韓民族の歴史共に開拓しよう
[ 1944年平壌生まれ。梨花女子大学卒。韓国女性団体連合共同代表を経て2000年に国会議員初当選。初代女性部長官、国務総理などを歴任。 ]
民団は在日同胞の求心体
本紙は25日、都内で韓明淑・前国務総理と会見した。一問一答の要旨は次の通り。
環境基金を提案
−−「アジアの未来」での講演の眼目は。
韓 歴史認識がアジアの協力と発展の障害になっている。「慰安婦」問題などに対して、日本に真摯な対応が求められることをまず指摘した。
アジア共同体構想については経済に限定せず、環境と人権民主主義のような大原則と社会文化的共感帯の拡大を訴えた。民間専門家たちのネットワークを構成し、環境問題の実態調査を共同推進すること、黄砂問題などの解決へ中長期的な視点からアジア環境基金を造成することを提起した。
東アジア経済共同体構想で、韓国が最重要視するのは物流だ。東アジアの鉄道連結はその核心になる。56年ぶりに南北の鉄道が連結されたが、これは統一への道を開くだけでなく、アジア横断鉄道網建設の夢を現実化するものだ。
−−韓米FTAには、国内で反対論が根強い。
韓 韓国はGDPの70%以上を貿易で生み出している。成長持続のために貿易拡大は避けられず、能動的に世界市場を開拓する必要がある。
貿易自由化が、農林水産業などに打撃となるのは事実だ。政府はこうした分野に集中的な支援策を立てた。韓米FTAは韓国経済の新たな躍進への機会になる。何が優先されるのか、現実を直視すべきだ。今年中には国会で批准できるよう努力したい。
−−民団は、韓日FTAにも関心が強い。
韓 日本との交渉は04年末以来、中断状態にある。日本側が農水産物や政府調達、非関税障壁など韓国の関心事項について、消極的であることに少なからず起因している。高い水準の農水産物市場の開放を提示すれば、交渉再開は可能だ。
−−民団は、日本に定住する外国人の地方参政権を要求している。
韓 その努力はよく知っている。韓国の昨年の地方選挙で、定住外国人も投票権を行使した。合法的に定住し、納税義務などを果たしていれば、参政権を付与するのは当然だと思う。日本の政治家と会うたびに韓国の例を説明し、説得努力を続けたい。
統一時代を準備
−−次期大統領候補の1人として、注目されている。現在の心境は。
韓 金大中大統領から盧武鉉政府の10年間に、民主改革陣営は政治的民主主義を完成し、わが国を世界10位の経済強国、世界最高のIT国家に発展させたと自負している。
しかし、その過程で社会的な葛藤が強まった。先進国の入り口まできた韓国を、国民所得2万㌦時代、さらには3万㌦、4万㌦時代に牽引するには、国民的エネルギーを一つにする指導者が出なければならない。私の示す「疎通と和合のリーダーシップ」は、時代的な要請に応え得ると信じている。
また、次の政府は北韓の開放に本格的に対備する使命がある。韓国経済が北韓を超えて、ユーラシア大陸に進出する「平和大陸経済構想」を描くべきだ。民主化と統一運動に献身してきた私は、韓半島統一時代を準備する平和の指導者を目指している。
−−民団の今後をどう見ているか。
韓 民団はながい間、在日同胞社会の求心体の役割を担い、韓国に困難や重要事があるたびに、温かい同胞愛を発揮してきた。これを高く評価する。こうした役割は継続されるべきだ。
民団と総連の葛藤は続いているが、北韓の開放は必然的な流れであり、多くの総連同胞も韓国籍を取得している。このような変化を積極的に受け入れ、新たな役割の創出を望みたい。急激な変化は困難をともなうが、前進のための陣痛と受けとめる勇気が必要だ。不屈の精神で韓民族の歴史を開拓しよう。
(2007.5.30 民団新聞)