掲載日 : [2007-06-27] 照会数 : 7105
在日韓人歴史資料館がリニューアル
50〜70年代の空白埋める
資料、開館時から倍増
在日韓人歴史資料館(姜徳相館長、韓国中央会館別館内)はこのほど新たに110点にのぼる写真、説明パネル、資料などを加え、全面リニューアルオープンした。これで展示品総数は200点を超し、05年11月のオープン時に比べてほぼ倍増した。今回のリニューアルを記念、30日にはこれまでの資料寄贈者らを招いて同館テラスで茶話会を開く。
第2展示室(解放後の生活)に新たに加わった「小松川事件」(1958年)、「金嬉老事件」(1968年)、「日立就職差別裁判」(1970年)などに関する資料は「解放後の空白」を埋めるもの。韓国籍を保持したまま初めて司法修習生として採用された故金敬得氏や指紋押捺反対運動に関するパネル資料と並列に置くことで、厚い差別の壁に立ち向かってきた在日同胞の闘いを浮き彫りにした。
このほか、相対的にまだ貧しかった1950〜60年代の葬儀の模様を伝える写真からは、近隣の同胞が総出で故人を見送ったことがわかる。当時、遺族が実際に使った麻の喪服も展示してあり、見る者に郷愁を感じさせる。
解放前のコーナーでは「朝鮮総督府が北海道の炭坑で働く朝鮮人労働者に送った手紙」が目を引く。これは「戦士として働き、離職とか争議に加わらないよう」脅かした内容で、「時代の闇を照らす貴重な資料」(姜徳相館長の話)とされている。歴史資料館と提携を結んでいる韓国の日帝強占下強制労働被害真相糾明委員会から当時の徴用令書や給与明細、罹災証明書などとともに寄託された。
姜館長は「開館から1年半余りで予想以上の資料が集まっている。この場所が安心して寄贈できる場所だとの認識が広がってきている証だ。まだスペースの関係で十分展示し切れていないが、いずれは屋外のテラスに屋根付きの展示コーナーを設けたい。そうなれば幾ばくかの入館料も取れるようになるだろう」と話している。
在日韓人歴史資料館は乙巳条約から100年を迎えた05年11月、民団が韓国中央会館別館に開設した。入場無料。開館は午前10〜午後6時。月曜日休館。℡03・3457・1088。茶話会は午後3時から。要申し込み。
(2007.6.27 民団新聞)